ショパンのピアノの感性は、ジャズに耐えうるでしょうか?

今のピアノだから、ジャズはできる。

ひょっとしたら、ショパンは、ジャズに挫折するかもしれません。

jazzって、今のピアノだからこそできるものだと思うのです。

そもそも、ショパンの時代のピアノって今のピアノと大きく違います。

ショパンは、プレイエルというメーカーのピアノを愛用していましたが、今のピアノよりサイズも小さく、鍵盤の数も少なく、鍵盤を叩いたときの深さも浅く、鍵盤の幅も狭く、そして弦の張力も弱いのです。

そのピアノを比較すると、こうなります。(ショパン時代のピアノの音色 プレイエル社 : 津田千枝 ブログより)

左が今のピアノ、そして右がショパンの時代のピアノです。さて、ショパンの時代のピアノで「Jazz」なる音楽のアイデアは生まれたでしょうか? 実は私はそうは思っていません。楽器に合わせたスタイルの新しい音楽が生まれます。ショパンの時代のピアノは、ジャズには耐えられないですし、逆の見方をすれば、ショパンの時代のピアノにとって、ジャズは「楽器を壊す、乱暴な音楽」にさえなる可能性があります。ショパンの時代には「jazz」を鳴らすことが不可能だったと思うのです。

もし、ショパンがjazzを生で聞いたら、毛嫌いしたかもしれません。あまりの斬新性と響きの強さに、時代に取り残された自分を感じるかもしれません。

ショパンが卒倒するかもしれない、クラシックとジャズを融合した曲

クラシックとジャズを融合させた作品をたくさん書いたカスプーチンの作品を聞いたら、ショパンは卒倒するかもしれません。

Nikolai Kapustin - Eight Concert Etudes, Op. 40 - YouTube

Nikolai Kapustin (1937 - 2020) - Eight Concert Etudes, Op. 40 (1984)I. Prelude. Allegro Assai [0:00]II. Reverie. Moderato [2:08]III. Toccatina. Allegro [5:07...

ここには、ショパンが求めていたものとは違う別次元のピアノの響きがあるように思います。

カスプーチンの芸術

このカスプーチンについて、面白い記事を見つけました。

とくに目を引くのはこの部分です。

確かにこの曲、右手の一部にこそケニー・ドーハムの「ブルー・ボッサ」が見え隠れするものの、左手は完全に別の曲として完結している。完結しているのに、2つは違和感なく溶け合っている。このフュージョン(融合)をジャズと呼ばずしてなんとしよう、なのだ。だから彼は堂々と、“自分の曲”と言い切れたのだろう。

まとめ

ジャズの魅力の一つに、2つの曲を融合させるというものがある。実は、こういう考えは、ショパンの時代には無かった。だからこそ、ショパンがジャズを聴いたら、挫折すると思うのである。