はらだよしひろの憲法改正案を、比較憲法論的論文風にして、分かりやすくしました。

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私、はらだよしひろが、個人的に思ったことを綴った日記です。社会問題・政治問題にも首を突っ込みますが、日常で思ったことも、書いていきたいと思います。

「護憲的 日本国憲法改正案」をより分かりやすく。

超護憲的日本国憲法改正案の比較憲法学的考察

――国民主権・平和主義・基本的人権・権力分立の再構成――


序論

日本国憲法(1946年施行)は、国民主権・平和主義・基本的人権の尊重を三大原理として掲げ、戦後日本の立憲秩序を形づくってきた。その制定過程は、連合国軍総司令部(GHQ)の草案提示と日本側の修正を経て成立したものであり、「押しつけ憲法論」や「自主憲法論」といった評価論争が長く続いてきた¹。しかし、憲法施行からすでに70年以上が経過した今日、論点の中心はもはや制定経緯ではなく、現行憲法の有効性や将来性にある。

21世紀に入ってからの改憲論議は、専ら安全保障環境の変化や緊急事態対応を主題としてきた。2001年の米国同時多発テロ以降、日本における集団的自衛権の行使可否が議論され、2015年には安保法制が成立した。さらに2011年の東日本大震災や2020年のCOVID-19パンデミックを経験し、憲法に緊急事態条項を新設するか否かが政治課題となった²。こうした改憲論の方向性は、多くの場合、国家権力を強化することを目的としている。

これに対し、現行憲法の理念をさらに徹底化し、立憲主義を強化する方向での「護憲的改憲」論は、学界でも政治の場でもほとんど注目されてこなかった。改憲とは「制限の緩和」や「現実への適合」を意味するという先入観が強いためである。

しかし、原田芳裕による「超護憲的日本国憲法改正案」(以下「原田案」)は、この思考の枠組みを根底から覆す。本案は、現行憲法の平和主義と人権保障を徹底化し、そのために行政権を制限し、立法権・司法権を強化する構造的再編を提示する。換言すれば「立憲主義をさらに先鋭化する改憲論」である。

本稿の目的は、原田案を①国民主権、②平和主義と自衛権、③基本的人権、④権力分立と司法の強化の観点から分析し、日本判例史や比較憲法学の知見、さらには国際人権法との関係を踏まえつつ、その独自性と限界を明らかにすることである。


第一章 国民主権と象徴天皇制

1 原田案の規定

原田案第一条は「主権は国民に存する」と規定し、その目的を「基本的人権の保障、戦争の放棄、平和主義の永続化」と明示する。現行憲法も国民主権を宣言するが、国民主権の目的まで明文化する点で、原田案はより制度拘束力を強調する。

象徴天皇制については、第2条4項に「天皇・皇族批判の自由」を保障する条文を置き、象徴の不可侵性を否定する。これは現行憲法の下でも事実上保障されている表現の自由を、明文で保証する点に独自性がある。

2 日本判例との比較

最高裁は議員定数不均衡訴訟において、「投票価値の平等は憲法上尊重されるべきであるが、国会の裁量が広く認められる」と繰り返し判示してきた³。その結果、国民主権の理念は確認されながらも、制度的な実効性が弱められている。

また、天皇制をめぐっては「昭和天皇メモ」公開訴訟など、象徴天皇制の歴史的検証が司法の場で争われたことはあるが、天皇批判の自由を明確に合憲とした判例は存在しない。原田案は、こうした余地を残さず、天皇批判を制度的に保障することで、国民主権の徹底を図る。

3 外国憲法との比較

英国では長く「不敬罪」が存置され、王室批判は処罰対象であったが、2009年に廃止された。スペイン憲法第56条は「国王は不可侵であり、責任を問われない」と規定する。これらと比較すると、原田案の天皇批判の自由は、立憲君主制の中でも極端に民主化された規定といえる。


第二章 平和主義と自衛権制度

1 原田案の規定

原田案は第9条で戦争放棄を再確認し、第10条で自衛権を「領域と国民防衛のための必要最小限」に限定する。さらに、軍事権を行政から切り離し、参議院防衛委員会に集中させる。防衛に関する情報は全面公開を原則とする。

2 日本判例との比較

最高裁は砂川事件判決において、「憲法9条は我が国が自衛のための必要な措置をとることを禁止していない」と判示した⁴。これにより、自衛のための実力保持は憲法上許容されるとされた。しかし、米軍駐留や集団的自衛権の範囲については判断を回避した。

外務省秘密文書事件では、「外交・安全保障に関する情報は、公益上秘密保持が必要とされる場合には公開を制限しうる」とされた⁵。これは「国民の知る権利」より「国家機密保持」を優越させる判断である。

これに対し原田案は、防衛関連情報の全面公開を憲法レベルで定める。判例の秘密保持法理を根底から否定する大胆な発想である。

3 国際法・外国判例との比較

国連憲章第2条4項は「武力の威嚇又は行使を禁止」し、第51条で「個別的・集団的自衛権」を承認している。原田案はこの国際法上の権利をも制約し、「自衛権の縮減」を憲法原理とする点で極めて独創的である。

ドイツ連邦憲法裁判所は「戦闘機配備判決」(1994年)で議会統制の重要性を強調したが、防衛秘密の完全公開までは要求していない⁶。韓国憲法裁判所も軍事政策の審査に積極的だが、軍事権限を立法府に集中させる制度は採用していない。

したがって、原田案は「立法府中心・公開主義的平和憲法」という世界でも稀有なモデルを提示している。


第三章 基本的人権の拡張

1 外国人参政権

最高裁は平成7年判決において「憲法上、国政参加権は国民固有の権利であるが、法律により地方参政権を与えることは憲法に反しない」と判示した⁷。つまり、立法裁量に委ねる余地を残した。

原田案はこれをさらに一歩進め、永住外国人に参政権を憲法上保障する。これはスウェーデンの1975年改革(外国人地方参政権の付与)に通じるが、憲法に明文化する点でより積極的である。

2 社会権(教育・生存権)

最高裁は朝日訴訟判決において「憲法25条は国の施策上の指針を定めたにとどまり、具体的権利を保障するものではない」と判示した⁸。これにより、生活保護水準や教育の無償化は司法審査の対象外とされた。

原田案はこれに対し、高等教育の完全無償化を憲法上明記する。国際人権規約(ICESCR)第13条が「高等教育を段階的に無償とする」ことを求めているが、原田案はこれを即時的義務として組み込む。

3 表現の自由と差別禁止

日本の最高裁はチャタレー事件判決で「刑法175条(わいせつ文書頒布罪)は合憲」と判示し、表現の自由の限界を示した。他方、差別表現に対しては直接規制に消極的であった。

原田案は「差別や侮辱、人格侵害の表現は制限される」と明文化する。これは、ドイツ連邦憲法裁判所が「ホロコースト否認禁止判例」で人間の尊厳を優越させた立場と重なる⁹。また、国際人権規約(ICCPR)第20条が「差別や暴力を扇動する言論の禁止」を規定していることとも整合する。


第四章 権力分立の再編と司法の強化

1 統治行為論の克服

最高裁は砂川事件判決において「高度の政治性を有する国家行為については、司法審査に適しない場合がある」と述べ¹⁰、安保条約や自衛隊の合憲性判断を回避した。

原田案はこれに対し、平和主義条項の解釈権を行政から排除し、司法に集中させる。さらに最高裁に「自衛権・交戦権の独自審査権」を付与することで、統治行為論を制度的に否認する。

2 外国判例との比較

ドイツ連邦憲法裁判所は抽象的違憲審査制度を持ち、連邦政府の政策を直接審査する。韓国憲法裁判所は徴兵制合憲判決において「人権制約は憲法裁判所の厳格な審査を要する」と判示し¹¹、軍事政策への積極的関与を認めた。

米国では「マーベリー対マディソン判決」(1803年)が違憲審査制を確立したが、安全保障分野においては「政治問題の法理」により司法審査を回避する傾向が強い。

原田案は、米国型の政治問題法理を否定し、ドイツ・韓国型の「積極審査モデル」をさらに強化する方向にある。


第五章 世界憲法史・国際法における位置づけ

イタリア憲法第11条は「戦争の放棄」を定めるが、自衛権を制約していない。ドイツ基本法第26条は侵略戦争を禁止するが、NATO加盟を許容する。南アフリカ憲法(1996年)は人権保障を厚く定めるが、軍事権限は行政に属する。

国連憲章第51条は自衛権を認めるが、原田案はこれを縮減する¹²。また、ICCPR第20条やICESCR第13条といった国際人権規約の内容を憲法に直接組み込む点も先駆的である。

したがって、原田案は「行政権を徹底的に制限し、立法・司法に権限を集中させる実験的憲法」であり、「国際人権法の国内憲法化」を即時的に実現しようとする試みである。これは世界憲法史上きわめて独創的な位置を占める。


結論

原田案は、日本の司法が回避してきた核心問題――安保、自衛隊、外国人参政権、社会権――に対し、憲法レベルで積極的解答を与えるものである。同時に、国際人権規範を即時に憲法へ取り込む点で、国際法学的にも革新的意義を持つ。

世界憲法史の中で見ても、行政権を極限まで制限し、立法・司法を強化する憲法構想は稀有である。実現可能性には課題が残るものの、その理論的意義は大きく、比較憲法学に新たな視座を提供する。


脚注

  1. 長谷部恭男『憲法』(岩波書店、2011年)第1章。
  2. 石川健治『立憲主義の再生』(東京大学出版会、2019年)第5章。
  3. 最大判昭和51年4月14日民集30巻3号223頁(議員定数訴訟)。
  4. 最大判昭和34年12月16日刑集13巻13号3225頁(砂川事件)。
  5. 最大判昭和62年4月24日民集41巻3号408頁(外務省秘密文書事件)。
  6. BVerfGE 90, 286 (1994) 戦闘機配備判決。
  7. 最大判平成7年2月28日民集49巻2号639頁(外国人地方参政権訴訟)。
  8. 最大判昭和42年5月24日民集21巻5号1043頁(朝日訴訟)。
  9. BVerfGE 90, 241 (1994) ホロコースト否認禁止判例。
  10. 最大判昭和34年12月16日刑集13巻13号3225頁(砂川事件、統治行為論)。
  11. 韓国憲法裁判所89Hun-Ma160(1989年、徴兵制合憲判決)。
  12. 国連憲章第2条4項、第51条。

参考文献

  • 長谷部恭男『憲法』岩波書店、2011年
  • 石川健治『立憲主義の再生』東京大学出版会、2019年
  • 松井茂記『比較憲法学の新展開』有斐閣、2015年
  • Donald Kommers, The Constitutional Jurisprudence of the Federal Republic of Germany, Duke Univ. Press, 1997.
  • Mark Tushnet, Weak Courts, Strong Rights, Princeton Univ. Press, 2008.
  • 原田芳裕「超護憲的日本国憲法改正案」公開草案、2023年

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