日本国憲法改正案の骨子及び要旨(原田芳裕案)
日本国憲法改正案 骨子及び要旨
(原田芳裕案)
以下が私の憲法改正案です。
ここでは、この改正案の骨子・要旨について、述べます。
まずは、PDFで見た方が見やすいので、こちらを示します。
それでは、具体的に述べていきましょう。
骨子
- 国民主権の明確化
- 第1条が国民主権。
- 元首の明確化、天皇の機能制限
- 天皇が元首であることを明確化。しかし、その根拠が国民主権によるところも明記
- 平和主義の徹底と自衛権の明確化
- 自衛権の内閣からの分離。国会への移行
- 自衛隊の情報公開の徹底
- 核兵器保有及び原子力の平和的利用の禁止
- 兵器売買の禁止
- 自衛権(自衛隊)の国会(参議院)指揮監督権及び防衛委員会
- 内閣による自衛権に関する解釈禁止
- 国民の権利と義務の具体化
- 国会の機能の充実と情報公開の徹底、及び国会議員の憲法裁判所提訴権。
- 緊急事態
- 憲法裁判所
- 地方自治の充実(本旨の明確化と財源の確保)
要旨
Ⅰ 国民主権の明確化と、元首の明確化及び天皇の権能制限
(国民主権の徹底)⇒第1条に国民主権を明記することで、日本国の主権が国民に存ずることを現憲法より明確にした。また、憲法の理念を徹底する為に国民主権であることも明記。
(象徴元首と、元首の根拠)⇒第2条に元首が天皇であることを明記し、その根拠が主権の存ずる国民の信頼にあることを明記。
(天皇と皇族の権利の制限)⇒第2条2項に天皇と皇族の権利が制限されることを明記。特に財産権と参政権は明確に制限。※尚、参政権の制限は、第4条の「国政に関する権限を有しない」の文言で重ねて明記。財産権の制限も10条で重ねて明記。
(天皇と皇族の政治的利用の禁止)⇒第2条3項により、天皇・皇族への政治的利用の禁止を明記
(天皇と皇族への批判権の明確化)⇒第2条4項により、天皇と皇族への批判権を明確化。※天皇の信頼への一形態としての批判権を明確化することで、天皇崇敬論者などによる攻撃などの思想・信条の自由や表現の自由の抑圧を防ぐ目的
(元首の行為に対する国会による助言と承認)⇒第3条、第4条、第5条。元首である天皇の行為を限定。元首の地位が国民主権によることから、天皇の行為には国会による助言と承認が必要であることを明記。※国会による助言と承認としたのは、国民主権の徹底のため。 現憲法は内閣による助言と承認としているが、国会が国の最高機関である以上、国会の承認と助言とすべきである。
(元首の国事行為の承認を国会と内閣で分担)⇒第7条。元首の国事行為の承認機関を、性質によって、分担した。国民主権の徹底の原則が必要な項目は国会の承認を必要とし、行政府のみの判断で可能なものは、内閣の承認を必要とした。
Ⅱ平和主義の徹底と、自衛権の明確化
(憲法9条の徹底と交戦権の否認の明確化)⇒第9条。現憲法9条の理念をより徹底する為に、交戦権を否認し、交戦権の為の戦力を禁止した。
(自衛権の範囲を明記し、集団的自衛権における武力行使禁止の明確化)⇒第10条。個別的自衛権と集団的自衛権の範囲を明確化し、集団的自衛権に関しては、武力の行使と武力行使の支援を禁止した。
(自衛隊の設置と情報公開の原則化)⇒第10条。自衛権を行使する機関として自衛隊の設置を明記すると共に、情報公開の徹底を原則化。
(自衛隊への指揮監督権を内閣から分離し、国会に付与)⇒第10条3項。自衛隊の指揮監督権を国会の参議院の一委員会である防衛委員会に付与することで、行政権から自衛権を分離させ、自衛隊の肥大化を防止。
(国際紛争の平和的解決の義務化 及び他国や他国人への侮辱・侵害の禁止)⇒第11条。国際紛争の平和的解決を義務化すると同時に、それを具体的に実現する為、他国や他国人への侮辱・侵害などの行為を禁止した。
(核兵器保有及び原子力の平和的利用の禁止)⇒第12条。核兵器の製造・開発・保有を禁止すると同時に、原子力などの核兵器や大量破壊兵器につながる平和的利用を禁止した。
(兵器売買と兵器保有の禁止)⇒第13条。兵器の売買と兵器保有を禁止した。また自衛隊に関しては、兵器の取引のあらゆる情報を開示しなければならないとした。
Ⅲ 国民の権利と義務の具体化
(重国籍の容認)⇒第14条2項。重国籍を容認した。
(外国人への基本的人権の保障と参政権の付与)⇒第15条2項。外国人の基本的人権を保障すると共に、参政権を認めた。
(人格権の明記)⇒第17条2項。人格権を明記した。
(自衛権のための拘束の禁止と、国家賠償権)⇒第22条2項。自衛権のための拘束を禁止すると共に、それに関する国家賠償権を明記。
(政教分離の原則の徹底)⇒第24条3項。政教分離の原則を国だけでなく、地方自治体にも広げ、形式的行為も含め、公権力による宗教行為を禁止した。
(ヘイトスピーチ等の表現の自由の制限)⇒第25条2項。ヘイトスピーチ等の行為に対して表現の自由を制限。
(国や議員などによる表現の自由への介入の禁止)⇒24条4項。国家権力や公権力による表現の自由への介入の禁止。
(国政や地方自治に関する言論及び報道の自由、知る権利への最大限の配慮)⇒24条5項。国や国の機関又は公共機関による国政や地方自治に対する知る権利への最大限の配慮を明記。
(差別による居住・移転・及び職業選択の自由の侵害の禁止)⇒第26条2項、人種・障害・門地・社会的身分などを理由として他人の居住、移転及び職業選択の自由を妨げてはならないことを明記
(夫婦別姓選択権の明記)⇒28条3項。夫婦別姓を選択できることを明記
(国公立の高等教育、大学教育の無償化)⇒30条3項。国公立が運営する大学教育や高等教育の無償化を明記。
(奨学金の無利子の義務化)⇒30条4項。奨学金の無利子の義務付け。
(義務教育及び高等教育における憲法教育の義務化)⇒31条。若者が将来、憲法を遵守し、実践するマインドを持つよう、義務教育、高等教育における憲法教育を義務化。
(就労時間の週40時間の原則化 及び 同一労働同一賃金の原則化)⇒32条2項の2.就労時間週40時間と同一労働同一賃金を原則化。
(就労環境の安全配慮義務の義務化)⇒32条4項。安全配慮義務を憲法上で義務化。
(納税の義務の対象を明確化)⇒35条。納税の対象に地方自治体の住民を加えた。※地方自治体の参政権は、この改正案では、外国人にも認められているので、外国人にも納税義務があることを明記することで、地方自治における外国人の政治参加を認める意図もある。
Ⅳ 国会の機能の充実と情報公開の徹底、及び国会議員の憲法裁判所提訴権。
(国会の最高機関とその根拠の明記)⇒46条1項。現憲法でも国会は国の最高機関とされているが、この改正案では、第1条の国民主権の徹底原則から、国会が最高機関である根拠を明示した。また、国の唯一の立法機関であることは堅持。
(自衛権は国会に属することを明記し、その中で参議院の専属事項であることを明記。)⇒46条2項。10条3項の規定をうけ、行政権においても、自衛権は国会に属することを明記。また、46条3項においては、自衛権が国会でも参議院の専属事項であることを明記。※参議院の専属事項としたのは、自衛権を行使せざるを得ない状況などの緊急時を考慮し、指揮監督系統等を簡潔化する狙いもある。
(国会議員は全国民を代表することを明確化)⇒48条2項。現憲法の43条から分離し、独立した規定とした。※1条の国民主権の徹底原則を補強する意図もある。
(総議員の四分の一以上の要求があった場合の臨時会の召集権限を両議院の議長に。)⇒58条2項。現憲法では内閣に臨時会の召集権限があるが、総議員の四分の一以上の要求があった場合は、国会の自律権の観点からも、両議院の議長に召集権限がなければならないと考えたための規定。
(国会の公開の徹底と秘密会の禁止)⇒62条1項。62条3項。秘密会を禁止とし、表決も必ず記載することとすることで、国会の会議を公開することを徹底化
(議事録からの削除の禁止)⇒62条2項。国会議員の議院での発言の議事録からの削除を明確化。
(両議院の議長が立法府の長であることを明確化)⇒63条2項。立法府の長が議院の自律権の責任をもつことも明記
(法律案提出は5名以上の議員の同意をもってできる)⇒64条1項。少数で法律案を提出することができるようにすることで、議論の活発化を促す目的。
(予算案提出は、20名以上の衆議院議員の同意をもって、衆議院にできる)⇒64条1項。66条1項の規定もあるので、衆議院に提出する。また、衆議院議員のみとしたのは、参議院議員に自衛権及び自衛隊に関する予算案の提出権を付与したバランスを考えてのこと。
(内閣の法律案提出は衆議院のみできる)⇒64条2項。また、自衛権及び自衛隊に関する法律案と予算案については、内閣は提出権を有さないことを明記することで、自衛権に関する管轄が内閣に無い(第10条3項と第86条)ことを徹底。
(自衛権及び自衛隊に関する法律案提出と予算案提出権。)⇒第64条3項。参議院議員と防衛委員会のみに法案提出権と予算提出権を認めた。なお、この規定には無いが、予算案は第66条1項により、衆議院に提出せねばならず、法律案については、64条1項により、参議院議員5名の同意をもって参議院に提出せねばならない。
(法律案及び予算案の誠実審議義務)⇒第64条3項。少数の同意による予算案や法律案も審議されるために設けた規定。
(成立した法律には、両議院議長の署名と内閣総理大臣の連署が必要)⇒第65条5項。国会が国の最高機関であり、唯一の立法機関であることを徹底させる為の規定。現行憲法では主任の国務大臣が署名し、内閣総理大臣が連署する規定になっているが、立法するのは国会である以上、法律の制定は国会の専属事項である以上、立法府の長がすべきであると考える。
(自衛権及び自衛隊に関する予算案の衆議院先議権および議決)⇒第66条3項。衆議院に先議権と議決の優先を与えることによって、参議院に対するチェック機能を持たせる。第46条1項の2 及び 第46条1項の2 を徹底させる為の規定。
(議員の国政調査権)⇒第68条。議院のみならず、議員ひとりひとりの国政調査権を規定。
(国政調査権による記録提出の要求は拒否することができない)⇒第68条1項 第69条2項。
(国政調査権により収集した記録の開示義務と非開示要件)⇒第68条2項 第69条2項。
但し、個人情報と民間法人の機密に関わる部分に関しては、議院の判断で非公開とすることができる。
(国会議員による国政調査権の行使によって収集された記録の開示によって蒙った損害の請求権)⇒第68条2項。個人情報や機密の保護の為の規定。
(緊急防衛事態発生時の防衛委員会招集)⇒59条4項。衆議院解散時においても、自衛権行使をせざる得ない逼迫した状況が生じた場合にも防衛委員会を収集できることを明記。
(国会議員の抽象的違憲法令審査提訴権)⇒第72条。国会議員に具体的紛争が無くても、違憲法令審査の提訴権を与えた。これは、多数派が違憲の疑いのある法令を可決させた時に、速やかに違憲性ある法令を憲法裁判所で審査してもらうための規定である。(自衛権に関する私的財産使用の制限及び憲法裁判所提訴権)⇒第34条3項、第34条4項。自衛権の為の私的財産使用の制限と、憲法裁判所提訴権を明記。憲法裁判所提訴権は、自衛権の私的財産使用が、ややもすれば平和主義侵害に直結するものであるので、提訴権を地方自治体の議員や国会議員まで範囲を広げた。
Ⅴ 自衛権(自衛隊)の国会(参議院)指揮監督権及び防衛委員会
(自衛権は国会に属する)⇒第46条1項の2、第86条。自衛権を内閣から切り離し、国会に属させることで、国会の最高機関としての機能を強化するとともに、内閣による恣意的な自衛権の拡大解釈と肥大化を防ぐための規定。
(防衛委員会の自衛隊指揮監督権と参議院への設置)⇒第73条1項、2項。防衛委員会を参議院に設置し、且つ、自衛隊の指揮監督権を与えることで、自衛権が国会に属することを担保する。防衛委員会を参議院に設置するのは、解散が無い参議院において、安定的な自衛権(自衛隊)の解釈・運営・運用を行う為である。
(防衛委員長と、防衛委員の参議院議員からの選出)⇒第74条、第75条2項。防衛委員長及び防衛委員は、参議院議員から選出されることを規定。
(防衛委員の構成は、各党派から均等にする。)⇒第75条2項。多数派による自衛権の拡大解釈及び平和主義の事実上瓦解を防ぐため、防衛委員会は党派配分を均等にする。
(防衛委員会の全会一致の原則)⇒76条。多数派による自衛権の恣意的な運用を防ぐため、防衛委員会は全会一致を原則とする。そもそも、国家防衛による恩恵は全国民が享受すべきものであるので、全会一致を原則としなければならない。
(防衛委員会の職務の範囲)⇒77条。防衛委員会による自衛隊の指揮監督の範囲を明記
(防衛委員、防衛委員長の罷免権)⇒78条。防衛委員及び防衛委員長の参議院による罷免権の明記。但し、少数会派所属の防衛委員に関しては罷免の条件をより厳しく規定。(防衛委員の構成、各党派均等の大原則を維持するため。)
(防衛委員会の予算案の提出)⇒79条。自衛隊に関する防衛予算の提出権限は、防衛委員会のみにあることを明記。また、会計に関して、国会の承認が得られなかった場合は、防衛委員会と防衛委員は翌年度の自衛権に関する予算を提案できないことも明記。自衛費は、その性質上肥大化する傾向がある。したがってそれを抑制するために、設けた規定。『10条3項の「最低必要限」を満たさなかったとみなし』とあるのは、それを明確にするためである。また、あえて「防衛委員」も翌年度の予算提案権が無いとしたのは、参議院議員としての予算提案権から排除するためである。これは防衛委員会が「全会一致」で国会に会計報告をする原則なので、参議院議員としての予算提案権が残るのは、不合理だからである。
(憲法解釈に関する防衛委員会の全員一致の原則及び国会の承認)⇒80条。防衛委員会の恣意的な自衛権に関する憲法解釈の変更を避けるため、国会の承認を得ることを明記
(国際法規に対する防衛委員会の批准否認権)⇒81条。国際法規に関して内閣が外交上締結した、防衛権に関する事項は、防衛委員会の全会一致が無ければ、批准できない。この条項は、外交権が内閣にあることを明らかにした上で、防衛権に関する行政権は国会(参議院)と防衛委員会にあることを担保している。
Ⅵ 緊急事態
(緊急事態と自衛権の行使)⇒82条。緊急事態を大きく「緊急防衛事態」「緊急保全事態」に分け、緊急事態における自衛隊が出動できる範囲(自衛権の範囲)を明記 国外からの武力攻撃に対して「緊急防衛事態」。国内の災害等への対応に対して「緊急保全事態」としている。緊急防衛事態については、専守防衛を絶対とし、先制攻撃を禁止している。
(緊急防衛事態の発生と解除)⇒83条。緊急防衛事態の発生と解除並びに、自衛隊に対する指揮権が防衛委員会にあることを明記。そして、国際法上の宣言(緊急防衛事態の国際社会への宣言)を防衛委員会の「過半数」によってできるようにした。「過半数」としたのは、緊急時において、全会一致の原則を貫いていたのでは、迅速なる対応ができないと考えられるため、過半数とした。また、「主権の存する国民」と書くことで、自衛隊に対する防衛委員会の指揮権の源泉が国民にあることについても明記。また、解除においても規定。
(最高裁判所による緊急防衛事態解除命令)⇒83条5項1。防衛委員会及び自衛隊が緊急防衛事態において、違憲行為に至ろうとした時、最高裁判所が独立した権限を持って、緊急防衛事態解除命令を出すことができることを明記。この規定は、緊急防衛事態が、憲法が定める範囲を逸脱した軍事行為に及ぶことを防ぐために、設けた。緊急防衛事態は、迅速に収束させなければならないが、憲法の範囲超えた軍事行為に及ぶ可能性もあるため、それを抑止するために、最高裁が独自に緊急防衛事態解除命令を出すようにした。
(衆議院による緊急事態宣言解除命令)⇒83条5項2.衆議院による緊急防衛事態解除命令について明記。緊急防衛事態が憲法の許容範囲を逸脱する状況に及ぶことが察知される時に、最高裁が緊急防衛事態解除命令を出さない状況も想定される。その時に、衆議院も解除命令を出すことができるようにすることで、緊急防衛事態の逸脱を防ぐことをより効果的にする。尚、衆議院としているのは、防衛委員会が参議院で構成されるため、命令の独立性・公平性を担保するためである。
(内閣による緊急防衛事態の外交解決努力義務と防衛委員会への協力)⇒84条。緊急防衛事態が発生した時、国際社会の協力によって解決する必要があるため、内閣がその任に当たることを明記。
(緊急保全事態の発生と自衛隊への出動命令)⇒85条。緊急保全事態が発生した場合は、内閣が自衛隊への出動命令ができることを明記。但し、その場合も防衛委員長の承認が必要であり、自衛隊への指揮権は防衛委員長が有する。
Ⅴ 内閣による自衛権に関する解釈禁止及び内閣総辞職について。
(内閣による自衛権に関する憲法解釈禁止)⇒87条。この規定をすることで、内閣による自衛権への介入を防ぐ。また、防衛委員会に自衛権が委ねられることを担保する。
(参議院による内閣不信任案可決に対する内閣総辞職)⇒91条2項。参議院による内閣不信任案可決については、防衛委員会・自衛隊との兼ね合いから設けた。参議院に解散が無いため、内閣総辞職のみ
Ⅵ 司法における違憲法令審査(憲法裁判所)
(憲法裁判所の設置と、裁判官の議会推薦)⇒106条2項、3項。裁判所に憲法裁判所を設ける規定。憲法裁判所の裁判官のうち、一定数を国会(最高裁)若しくは地方議会(下級裁判所)の推薦によるものとした。憲法審査に一定の民意を反映するため。
(抽象的違憲法令審査【議員】)⇒107条。議員が違憲法令審査を提訴したときに、憲法裁判所が設置されることを明記。国会議員の提訴は最高裁、地方議員の提訴は下級裁判所に憲法裁判所を設ける。この規定は、議員に抽象的違憲立法の提訴権を与えることで、違憲審査を速やかに目的がある。したがって、法令そのものの違憲審査を提訴することができる。
(具体的違憲法令審査【国民】)⇒108条。国民が裁判で提訴したときに、法令が違憲かどうかの申し立てができる。具体的な訴えの利益があって、その中で法令が違憲かどうかを審査するものである。抽象的違憲法令審査と違い、法令そのものが違憲かどうかを提訴することはできない。
(交戦権・自衛権に関する最高裁判所独自の違憲法令審査権)⇒110条。最高裁判所は提訴の有無に関わらず、独自に交戦権・自衛権に関する審査権を持つ。自衛権の暴走を防ぐために設けた規定。
Ⅶ 自衛権に関する財政
(緊急防衛事態に対する予備費)⇒115条2項。自衛権行使に関する予備費は、国会の議決に基いて設け、防衛委員会の責任でこれを支出することができることを明記。
(自衛隊に関する会計検査)⇒118条。自衛隊の収入支出の決算は、すべて毎年防衛会計検査院がこれを検査し、防衛委員会は、次の年度にその検査報告とともにこれを国会に提出し、国会の承認を得なければならないことを明記。自衛隊が国会(参議院)に属する以上、その会計検査は独立していなければいけないため。
Ⅷ 地方自治の本旨の明確化と、財源の確保(独自財源)
(地方自治の本旨の明確化)⇒120条。現憲法は《地方自治の本旨》とのみ記し、それを具体的に記していないために問題がある。この改正案では地方自治の本旨を具体化し、自律して地域住民が地方自治を行うことを明確化した。
(住民としての地位にある外国人に対する地方自治選挙の参政権付与)⇒121条3項。地域住民として生活をしている外国人に対して参政権を付与することを明記。外国人も地域社会の構成員であることから設けた規定
(地方自治体の財源の確保)⇒122条。地方自治体独自の税を条例によって課すことができるようにした。地方自治体独自の財源を確保し、地方自治体の独自の運営を担保するため。※但し、法律による課税優先。二重課税禁止
(地方自治体による営利事業)⇒122条3項。地方自治体の営利事業を認める項目。徴税だけでは財源の確保が難しいため。営利事業として自治体の運営資金を賄う目的がある。
(地方自治体の条例制定権)⇒123条。現行憲法でも地方自治体の条例制定権はあるが、独立させた。「地方自治の法律」としての条令制定権に関する項目を独立して作ることにより、地方自治体の独立性を担保するため。
(地方自治体の組織と運営に関して条例で制定)⇒124条。現行憲法の規定(地方自治体の組織と運営は法律で定めること)を維持しつつ、条例でも制定できることを明記。自治体運営において、地域社会特有の事情に合わせる必要もあるために設けた規定。
(違憲条例審査提訴権)⇒126条。条例が違憲である恐れがあるときに、地方自治体の議員が違憲審査を提訴できる。
Ⅸ 最高法規
(基本的人権の由来)⇒128条。基本的人権の保障、戦争放棄、平和主義の由来について明記。
(憲法発展の義務)⇒130条。日本国民による憲法発展義務を明記した。基本的人権、戦争放棄、平和主義は日本国民の絶えない努力によって維持されるからである。
まとめ
この憲法改正案は、現日本国憲法を発展させるために、
- 平和主義における、自衛権の明確化。そして自衛権の徹底的なシビリアンコントロール(国会によるコントロール)
- 非核化の宣言
- 会計も含めた、徹底的な情報公開
- 予算の分離
- 憲法裁判所の設置
- 議員による抽象的違憲提訴権
- 国民による具体的違憲提訴権
- 地方自治の充実
と、統治機構の充実に、私の創造的アイデアも盛り込んで作ったものです。