耐震工事で、戦争遺跡を保存。~春日井~

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春日井市在住です。
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耐震工事で、戦争遺跡を保存しようとする動きが、春日井市でありましたので、ご紹介します。

愛知:工廠旧司令棟 改築で保存 名城大春日井キャンパス 最新手法 耐震性を強化:地域ニュース : 読売新聞オンライン (yomiuri.co.jp) より

【いんようはじめ】

工廠旧司令棟 改築で保存 名城大春日井キャンパス 最新手法 耐震性を強化

2022/08/20 05:00この記事をスクラップする

改築された名城大春日井キャンパス本館。ひさしは軽量化され、外壁は当時の色を調べて決まった(春日井市で)
改築前の名城大春日井キャンパス本館。星形の跡がある
最新機器が整備された講義室。教卓と黒板(正面奥)は旧館時代から引き継がれた

改築された名城大春日井キャンパス本館。ひさしは軽量化され、外壁は当時の色を調べて決まった(春日井市で)改築前の名城大春日井キャンパス本館。星形の跡がある

 太平洋戦争中の80年前、春日井市内の軍需工場の司令棟として建設された建物が今年4月、最新の改築手法で再生された。戦後は大学施設として使われ、老朽化による建て替えが検討されていたが、戦争の遺構として存続することになった。(千田龍彦)

 この建物は1942年、旧 鷹来たかき 村(現春日井市鷹来町)に完成した、小銃弾をつくる陸軍造兵 しょう 鷹来製造所(鷹来工廠)の旧司令棟(地上4階、地下1階)。終戦前日の45年8月14日、米軍の爆撃機B29によって模擬原爆1発が投下され、工場は大破したが、司令棟は無傷で残った。

 戦後、工廠跡の一部が名城大学に譲渡されて付属農場となり、旧司令棟は「春日井キャンパス本館」として一部が改造され、事務室や講義室、実験室、資料室などに使われてきた。

 建物正面には星形の旧陸軍紋章跡が残り、屋上は空襲を避けるために土が盛られ、希少植物が栽培されてきた。近年は雨漏りも問題になっていたという。

 学内では建て替えを求める声が上がる一方、学内外から「鷹来工廠の貴重な遺構。学生や市民が戦争を学ぶ施設として保存してほしい」との要望があった。

 相反する要望に対し、3年前、同大が採用したのは、リファイニング建築による施設の再生だった。一般社団法人リファイニング建築・都市再生協会理事長で建築家の青木茂さんが提唱した改築手法だ。

 コンクリート造りの  体(基礎や骨組み)はほぼそのまま使い、新築より割安に機能や耐震性を強化するとともに、建物の持つ歴史を大切にする姿勢も評価されたという。最新機器が整備された講義室。教卓と黒板(正面奥)は旧館時代から引き継がれた

 青木さんは依頼を受け、「学内や地域から建物への希望や思いを調査しながら、設計を進めた」と振り返る。建物内は廊下や部屋の配置を変え、吹き抜けを新設。IT機器が導入され、最新の教育施設となった。

 全てを取り換えた窓は、旧館に合わせたデザインでサッシを特注。正面玄関の鉄枠のドアやホールの床、階段の手すりの人造石はそのまま残した。厚さ約50センチのコンクリート製の玄関ひさしは強度上問題があり、中をくり抜いて軽量化するなど工夫した。

 名城大時代の歴史にも配慮。教卓と黒板は旧館から引き継ぎ、応援団が時計塔内の壁に書いた落書きも残した。建物の寿命は60年延びたという。

 鷹来工廠について詳しい「春日井の戦争を記録する会」代表の金子 つとむ さんは「老朽化で消えていく戦争遺跡や遺構が多く、旧司令棟についても懸念していた。新本館には戦時期の記憶が埋め込まれており、遺構の保存に向けて新たな可能性をもたらした」と話している。

リファイニング建築  建築家青木茂氏が提唱した建築の再生手法。地域や建物の文化・歴史を尊重しながら、耐震化を中心に建物の 強靱きょうじん 化、長寿命化を図る。建て替えの7割程度の価格で実現し、用途変更にも対応する。廃材量が減るなど環境にも配慮している。

【引用終わり】

この記事に対して、はらだよしひろが思うこと。

近代の歴史的遺構は、相反する意見が対立して、なかなか次に繋がらないことも多いと思います。

このケースでは、新手法を採用することで、相反する双方の要望を受け入れることに成功していると思います。