高市首相の所信表明演説の分析 ~防衛費増額のみで強い経済を作ろうとしている~
私、はらだよしひろが、個人的に思ったことを綴った日記です。社会問題・政治問題にも首を突っ込みますが、日常で思ったことも、書いていきたいと思います。
高市早苗首相が所信表明演説を行いました。
この演説を分析してみたところ、高市首相は防衛費増額=責任ある積極財政 と言っていることが見えてきます。
私なりの批判的、分析を行います。
目次
① 高市首相 所信表明演説の内容分析(骨子と評価)
全体構成とメッセージ
- キーメッセージは「強い経済」→「責任ある積極財政」→「不安を希望に」の好循環。加えて「政治の安定」「連立(自民・維新)」を梃子に広範な政策を同時並行で進めると宣言。
- 外交・安保では日米同盟を軸に多角連携を強化し、防衛費を今年度中に対GDP比2%へ前倒し、安全保障関連「三文書」を来年中に改定と明言。
マクロ・財政運営
- 「経済あっての財政」「税率を上げずに税収増」「成長率以下に債務伸びを抑え、債務対GDP比を低下」――成長主導で財政の持続可能性を確保する方針。ただし名目成長率目標や乗数見積り、金利前提などの数表は示さず。
物価・家計・中小企業対策(短期)
- ガソリン税の暫定税率廃止と軽油引取税の暫定税率廃止を国会で推進。移行期は補助金で価格下げを継続。首相官邸ホームページ
- 医療・介護の報酬改定前倒し相当の補助金で経営と処遇を急ぎ下支え。公共調達単価の見直し。自治体向け交付金拡充、冬季の電気・ガス料金支援。給付付き税額控除の制度設計に着手。高校・給食の無償化を来年4月から(安定財源は今後設計)。扶養控除の「103万円の壁」は年末調整で160万円対応へ。
- 一律の給付金は見送り(参院選公約からの転換)。
成長戦略(中長期)
- 「危機管理投資」を成長戦略の核に据え、AI・半導体・量子・バイオ・宇宙・サイバー等を総合支援。「資産運用立国」で金融の力も動員。TSMC・ラピダスの地方波及をモデルに地域クラスター形成を推進。
エネルギー・GX
- 原子力とペロブスカイト太陽電池など国産電源を最大活用。次世代革新炉・核融合の早期実装も目標に。
災害・国土
- 防災庁の来年度設立、事前防災・老朽インフラ更新をデジタル活用で加速。首都機能バックアップや多極分散も検討。
社会保障・医療
- 超党派「国民会議」で税・社会保障の一体改革と給付付き税額控除を議論。医療のデジタル化、病床の適正化、医師偏在対策。女性の健康支援の司令塔を活用。
治安・移民・地方
- 外国人の違法行為への「毅然対応」や土地取得ルールを検討し担当相を新設。地方は中堅企業の広域展開支援+インフラの一体策で産業クラスター化。地方税体系の見直しにも言及。
憲法・皇室典範・昭和100年
- 在任中の国会発議実現を期待、皇室典範改正の議論促進。昭和100年を節目に平和の誓い継承。
総評(分析)
- 「積極財政」の看板は掲げるが、**マクロ前提・規模・工程表(時期・KPI)**の定量提示が乏しい一方、防衛費2%の前倒しは年次と水準を明示し最も具体的。ここが政策全体の具体性バランスを崩している。
- 歳出拡大(無償化・補助・インフラ)と**減税的措置(暫定税率廃止・基礎控除引上げ検討)**を同時に掲げつつ、「安定財源」「債務対GDP比の低下」をうたうが、名目成長・税収弾性値・金利の組合せが示されず、整合性は今後の補正と税制改正次第。
- 成長分野の列挙は広いが、選択と集中・公共調達改革・規制設計の具体像はこれから(「日本成長戦略会議」任せ)。
②「はらだよしひろ」としての批評(立場表明)
私は、この演説を**「責任ある積極財政」の看板倒れ**と見ます。理由は三つです。
1) マクロ設計がないまま、安保だけが数値確定
- 防衛費2%の年度内前倒しは「規模×時期」の両軸を確定した唯一の政策。一方、家計支援・無償化・自治体交付金・危機管理投資は総額・期間・KPIが未提示。結果として「=責任ある積極財政=防衛拡大」の図式しか伝わらない。私が求めるのは、名目成長率(例:3〜4%)・コアコアCPIレンジ・平均賃金伸び・乗数・税収弾性値・実効金利を置いた中期マクロ枠組みである。
2) 「需要—供給—分配」の基本連関が設計されていない
- 物価を上回る賃上げ定着と言いながら、所得政策(ベースアップ支援の恒常化設計)や下方硬直性を補う自動安定化装置の具体がない。暫定税率廃止は相対価格に手を入れるが、実質賃金の押上げ経路は曖昧。給付付き税額控除は方向として賛成だが、**給付水準・相殺カーブ・事務設計(マイナ連携)**を早急に示すべきだ。
3) 歳出・減税・債務目標の整合性が不在
- 「税率は上げず税収増」と言うなら、成長起点の税収中立性を裏づける歳出・減税の時限措置化、サンセット条項、投資評価(SIB/成果連動)を同時に出すべきだ。現状は景気対策→補正→後付け財源の順序に見え、財政ルール(債務対GDP比の中期経路)も未提示。
私ならこう設計する(代案の骨子)
A. 中期マクロ枠組みの明示(「生活起点」の積極財政)
- 目標は債務比率ではなく生活指標:
実質賃金+3%/年、雇用不足率(失業+不本意非正規)2%以下、子ども貧困率半減(3年)を政府の最上位KPIに。物価はコアコア2%±1ptレンジ。 - 財政運営は**「信用貨幣=支出が先」の認識を明確化。完全雇用・安定インフレ達成まで基礎的収支黒字化目標は棚上げ**。
- 金利前提とインフレ見通し、需給ギャップ推計を四半期ごとに公開。債務対GDP比は「結果指標」として参考表示にとどめる。
B. 需要—供給—分配の三位一体(暮らし直撃の順)
- 需要(家計底上げ)
- **消費税ゼロ(時限3年)を即時実施。低所得向けに給付付き税額控除(毎月給付)**を恒常制度化。
- 全国一律最低賃金1,500円→2,000円への段階引き上げ。中小には全額国費補助(賃上げ移行基金)。
- 供給(人・ケア・脱炭素に選択と集中)
- グリーン&ケア・ニューディール:断熱改修/再エネ導入、公共交通再編、介護・保育・医療の人員増を公的直接雇用+補助で加速。
- 中核技術は省エネ/蓄電/送配電更新/農業の省力化を最優先。巨額補助の装置輸入型には国内付加価値KPIを義務化。
- 分配(波及の設計)
- 公契約法の全国標準化で下請単価に賃上げ反映を義務づけ。
- 医療・介護は処遇改善加算の恒常化+人員配置基準の見直し(アウトカム評価は「急性期入院日数短縮」等の生存バイアスに注意して設計)。
C. 工程表とKPI(可視化・自動是正)
- 年2回の**「生活スコアカード」**を公表:実質賃金、雇用不足率、子ども貧困率、未払い残業・ハラスメント訴え件数、家賃負担率、医療受診抑制率。
- 主要政策のダッシュボード:
- 消費税ゼロの家計可処分所得増加額と中小売上の弾性値、
- 最低賃金引上げの離職率/倒産率/補助執行率、
- 住宅断熱の光熱費削減/医療費削減(呼吸器・循環器)。
- 効果が閾値未達なら自動増額、副作用が閾値超えなら自動縮小という双方向サンセット/サンライズ条項を設定。
D. 財源設計—「通貨発行+富裕税+汚染者負担」
- まずは国債発行(市中消化)で財源手当て。完全雇用まで景気循環に対して逆相関で執行(自動安定化)。
- 富裕層・金融中心の恒久財源:
- 超過富裕税(純資産課税の付加)、総合課税化(金融所得分離見直し)、相続・贈与の一体課税の累進強化、超過利潤税(エネルギー・大手プラットフォーム)、金融取引税(低率広範)。
- 外部不経済の内部化:PFAS等の有害化学物質、温室効果ガス、騒音・振動を汚染者負担金+被害者基金で処理。将来医療費削減分を財政効果として計上。
- 公的投資の黄金律:維持更新・省エネ・人材(保育/医療/教育)は資本勘定扱い。見せかけの民営化・PFIは総費用現在価値で比較公開。
E. 安保と積極財政のバランス(人間の安全保障に資源配分)
- 防衛費2%前倒しは再検証。まず**監査(調達単価・稼働率・冗長在庫)**を実施し、医療・防災・社会基盤へ優先配分。
- 専守防衛の厳格化、敵基地攻撃能力の見直し、外交の再強化(平和構築・中立的仲介能力)。
- 同等以上の具体性で、
- 防災庁:避難所の断熱・電源自立率100%(3年)、
- 医療DX:レセプト/電子カルテ相互運用100%(2年)、
- エネルギー自給:住宅断熱100万戸/年、系統増強の入札前倒し
の数値工程表を提示し、「生活の安全保障」を可視化。
F. 地方と産業クラスター(人・住まい・交通が先)
- 誘致型だけでなく自治体主導の公共雇用プログラム(ローカル・ジョブ・ギャランティ)を常設:空き家改修、道路・水道更新、ケア補助、地域交通。
- 企業補助の条件に地域賃金底上げ条項、一次・二次下請への賃上げ波及、地元中小の参入比率KPIを義務化。
- 公営住宅の断熱改修×家賃上限規制、地域公共交通の運賃上限、給食・高校完全無償化を自治体裁量で即時展開できるよう地方交付税の自由度拡大。
G. 手続の民主化(説明責任と共同統治)
- 補正・本予算・税制・債務計画をワンパッケージで事前公開し、国会でのKPI紐づけ採決を義務化。
- 第三者評価委(労働・公衆衛生・福祉・環境・エネルギー・会計)を常設し、全データを機械判読でオープン。
- 労働組合、介護・医療現場、当事者団体と協約型政策形成(年1回の「生活白書」)を実施。公共調達の全契約書をオンライン公開。
まとめ(はらだよしひろの立場の明言)
今回の高市演説は、「責任ある積極財政」という言葉を掲げながらも、その中身が人々の生活・雇用・地域をどう再生させるかという具体策に欠けている。明確な数値目標を持つのは防衛費GDP比2%前倒しのみであり、**“積極財政=軍拡”**という誤った図式が出来上がっている。これでは、国民の不安を希望に変えるどころか、生活不安を国防不安で覆い隠す政治に過ぎない。
私たちは、「責任ある積極財政」を防衛のためではなく、生活のために行う。
それは、消費税ゼロ・最低賃金1500円以上・給付付き税額控除・家賃と医療費の家計負担の抑制・断熱住宅と公共交通の再生――すなわち、人間の安全保障への直接投資である。
この「人間中心の積極財政」こそ、私の経済政策の根幹だ。
国の借金は国民の借金ではない。通貨を発行できる政府が、まず支出を行い、国民の所得を生み出し、税で回収する。
この信用貨幣の循環を理解し、完全雇用と賃金上昇を最優先にする政策こそ、「責任ある」財政運営である。
いま必要なのは、債務残高の抑制ではなく、失業と貧困の抑制だ。
「不安を希望に変える」と言うなら、まず人々の生活実感を財政の中心に置くことから始めるべきだ。
それができて初めて、真に“責任ある積極財政”と呼べる。
そして、平和憲法の精神に基づく「平和的生存権の保障」と「社会的連帯」を経済政策の軸に据えること――これが、私が示す日本再生の道である。外交・安全保障も含めて人間の安全を総合的に高める。——これが、私の考える「責任ある積極財政」だ。
はらだよしひろと、繋がりたい方、ご連絡ください。
私、原田芳裕は、様々な方と繋がりたいと思っています。もし、私と繋がりたいという方は、是非、下のメールフォームから、ご連絡ください。ご相談事でも構いません。お待ちしております。




