【春日井PFAS訴訟】 控訴審判決、結果は「棄却」でした。
私、はらだよしひろが、個人的に思ったことを綴った日記です。社会問題・政治問題にも首を突っ込みますが、日常で思ったことも、書いていきたいと思います。
春日井PFAS訴訟、控訴審判決が出ました。
結果は『棄却』でした。
目次
控訴審判決




この控訴審判決についての評価。
この控訴審判決は形式的には「控訴棄却」ですが、
中身を丁寧に読むと、極めて典型的な“逃避型判決”=実体審理回避のモデルケースだと言えます。
ここでは、法的・構造的・論理的の3層で分析し、
どこが問題で、どう批判できるかを整理します。
【Ⅰ】全体構造の評価:典型的な「理由付け省略型・追認判決」
まず、この判決はほぼすべての箇所で、こう書かれています:
「当裁判所も、原審と同様に判断する」
「その理由は原判決を引用する」
これは、行政訴訟では**「維持判決(affirmative judgment)」**と呼ばれる型です。
しかしその中身をよく見ると、実際は
- 実体判断を全くしていない
- 法律論も踏み込んでいない
- 控訴人の主張を形式的に「採用できない」と述べるのみ
という、「理由を持たない理由」判決です。
つまり、
「地裁の逃げ方を、裁判所として追認しただけ」
「控訴審の責務=法的争点の整理を放棄した」
ということになります。
【Ⅱ】主要な論点ごとの批判
1. 「当該職員」論の処理の誤り
(1)「当該職員」該当性は訴訟要件であり、職権判断すべき
(2)伊藤所長らは専決権者でない、委任・代理もない
この部分が全体の要石になっていますが、構造的に3つの欠陥があります:
✴️(1)弁論主義との関係の誤用
裁判所は「訴訟要件は職権判断だから弁論主義違反ではない」と述べています。
一見もっともらしく見えますが、私の主張は「訴訟要件の事実評価が恣意的だ」という点にあり、
「弁論主義を誤用して実体審理を閉ざした」点が問題でした。
→ つまり裁判所は、「弁論主義違反の形式論」で反論しており、私の批判の射程をすり替えています。
✴️(2)専決者=課長で打ち切る形式主義
裁判所は「専決権者が課長である」ことをもって、他の職員の関与を否定しました。
これは明白な事実審理回避です。
なぜなら、私は甲号証で、庁内協議(公表方針決定)に関与した実質責任者を特定しており、
それが専決行為の前段階で決定に影響を与えた事実を示していた。
つまり、“意思決定の形成過程”が問題だったのです。
裁判所は、最終押印者だけを「当該職員」としたことで、統治過程責任を完全に切断しました。
これがもっとも非近代的な形式官僚判断の典型です。
✴️(3)実務・判例との整合性の欠如
最高裁判決では、
「当該職員」概念は形式的権限者に限らず、
実質的な判断形成・指揮・関与を通じて結果を導いた者も含むとされています。
→ したがって、本判決は**最高裁判例との抵触(法令解釈違背)**が明白。
この一点で、上告理由(憲法+法令解釈誤り)になります。
2. 「別契約と不公表は別問題」との判断
「当初契約結果の不公表と、別契約による追加検査は別個の問題」
これは、まさに私が全力で論破してきた「切断論」です。
そして高裁は、何の法令・判例も引用せずに断言だけしています。
✴️(1)「法令上の根拠がない」との断言の空洞性
行政裁量の審査は、条文明記がなくとも、
**「一体評価」**の理論(目的適合性・関連考慮事項の枠)で審査されるのが確立実務。
たとえば、最判昭和56年12月16日(大阪空港公害訴訟)でも、
行政行為とその準備行為・関連行為を**「一体の判断過程」**として評価しています。
本件のように、別契約が不公表を補助する構造にある場合、
「法令上の根拠がないから切り離す」という論理は、行政裁量統制論の基本に反する。
✴️(2)自らの立証責任の放棄
私は明確に、
- 「別契約の目的が『不公表を成立させる手続的装置』である」
- 「契約書類欠落、二重契約、財政法4条違反」
を主張・立証済みでした。
それに対し裁判所は、これらの具体的事実には一言も触れていない。
→ 「事実審理を回避し、形式論で逃げた」点で、審理不尽・理由不備(民訴法338条1項9号)に該当します。
3. 「財務会計行為でない」論の誤用
「これらの行為は財務会計上の行為に当たらない」
この文言は、まさに地裁が使った逃げ口そのもの。
しかし控訴審がこれを維持したのは、実質的に二つの法理を誤用しています:
✴️(1)財務行為の「効果」無視
財務会計行為とは、支出・契約だけでなく、
その結果が**財政的効果を生む行為(行政行為を通じた結果)**を含むとするのが通説・実務です。
私の主張した「別契約による再検査+不公表」は、
財務支出の目的効果(安全情報提供)を欠落させたという財政的損害の議論。
裁判所は、「行為の性質」だけを見て、「効果の欠落」を無視しました。
→ 財政民主主義の観点(地方自治法2条14項・財政法4条)から見れば、誤りです。
✴️(2)地方自治法242条の趣旨に反する
同条は、違法な「財務行為等」を広く対象とし、
「財務運営上の不当な支出・契約」を住民が争える制度です。
裁判所のように「財務会計行為にあたらない」と狭義に理解すると、
行政は不公表を織り込んだ支出を自由にできてしまう。
→ 制度趣旨の骨抜きです。
これを私は「切断論」と呼んだわけですが、
まさに裁判所はその切断論を形式的整合性で追認した。
【Ⅲ】判断全体の特徴:憲法回避+行政裁量回避+責任回避
この判決は、全体として3つの回避を重ねています。
| 回避対象 | 回避手段 | 結果 |
|---|---|---|
| 憲法問題(21・25・99条) | 「財務会計行為でない」論 | 憲法判断を免れる |
| 行政裁量統制(自己拘束・比例原則) | 「別問題」論 | 実質審査を免れる |
| 職員責任(当該職員性) | 「専決者のみ」論 | 個人責任を免れる |
→ 結果として、訴訟構造全体を“審理不能化”する多重防壁が作られています。
しかしこの防壁は、論理的整合性を欠き、
それぞれの層が互いを支え合わずに「逃げの層」になっている。
→ したがって、上告審では一層崩れやすい構造です。
【Ⅳ】総括的評価(法的・制度的・倫理的)
| 観点 | 評価 | 内容 |
|---|---|---|
| 法的整合性 | ★☆☆☆☆ | 最高裁判例・通説との整合を欠く。形式主義の乱用。 |
| 審理の充実性 | ★☆☆☆☆ | 事実審理を実質的に放棄。「採用できない」連発。 |
| 憲法的誠実性 | ☆☆☆☆☆ | 21・25・99条問題を一切検討せず。 |
| 行政統制機能 | ☆☆☆☆☆ | 自治体責任の免罪。制度目的の逸脱。 |
| 起案姿勢 | ★★☆☆☆ | 「逃げの統一性」はあるが、論理的整合は脆弱。 |
総評:
「立憲主義を回避することで整合性を装った、最悪の形式的整合判決」
— 実体審査から逃げたがゆえに、最高裁での破棄要件を満たす。
【Ⅴ】批判の方向性(上告理由の射程)
この判決を批判・覆す際に有効な射程は次の通りです👇
- 法令解釈の誤り(民訴法312条1項)
「当該職員」概念の限定解釈は、最高裁判例に反する。 - 理由不備・審理不尽(民訴法338条1項9号)
主要主張・証拠(甲1 証拠書1~35・甲2)に全く触れずに排斥。 - 憲法判断回避(憲法21・25・99条違反)
財務会計行為を理由に憲法審査を免れたのは、司法の憲法尊重義務違反。 - 訴訟要件の誤認(地方自治法242条の解釈誤り)
財務会計行為の範囲を不当に狭め、制度趣旨を没却。
【Ⅵ】結論
結論から言えば、これは「35日で書ける判決」でした。
理由:考えていないから。
- 実体審査をせず、地裁の理屈を焼き直しただけ。
- 新たな法的判断もなく、すべて「採用できない」で済ませる。
- それゆえ、最高裁で覆しやすい。
なので、上告いたします。
はらだよしひろと、繋がりたい方、ご連絡ください。
私、原田芳裕は、様々な方と繋がりたいと思っています。もし、私と繋がりたいという方は、是非、下のメールフォームから、ご連絡ください。ご相談事でも構いません。お待ちしております。




