陸別町は、「日本一寒い町」の世界的価値を見ていくと面白い

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私、はらだよしひろが、個人的に思ったことを綴った日記です。社会問題・政治問題にも首を突っ込みますが、日常で思ったことも、書いていきたいと思います。

実は、私の父は、北海道陸別町の出身です。私の祖父祖母も95あたりまで陸別町で過ごしました。

今でも覚えています。私が15の時に90歳の祖父からもらった手紙に・・・「今日はマイナス18℃で温かかった」と直筆で書いてあったことを。  日本一寒い町陸別の真骨頂を肌で感じた思いがしました。 

そこで、今日は、陸別町の「世界的レベル」なお話をまとめていきます。

https://www.rikubetsu.jp/tenmon/topics/3066/ から

陸別町の「世界的レベル」の地理的特徴とは何か

陸別町(りくべつちょう)の面白さは、「北海道の一地方」なのに、地形・気候・大気環境が組み合わさって、世界の寒冷地研究や“空の暗さ(星空)”の議論とそのまま接続できる点にあります。ひと言でいえば、陸別は**日本の中に現れた“内陸型・寒冷大陸性の小宇宙”**です。寒さが有名ですが、それは単なる観光キャッチではなく、地理学的に説明できる筋の通った現象で、しかも近年は気候変動の影響(猛暑の記録など)まで含めて、世界の課題を映す鏡にもなっています。


1) 位置がまず「境界的」:十勝に属し、オホーツク側と接する内陸

陸別町は行政的には十勝総合振興局に属しますが、地理的には北海道東部の“真ん中寄り”で、オホーツク総合振興局側の自治体(置戸町・訓子府町・津別町)と隣接し、南東西部側は足寄町に接します。つまり、太平洋側(十勝)とオホーツク側の結節点/縁辺にある町です。

さらに重要なのが、陸別の市街地付近が分水嶺(流域の境界)の影響を受けるという点です。分水嶺は「海に注ぐ水の行き先」を分ける線ですが、実際には地形・風・冷気の流れ方を左右し、植生や積雪のクセまで変えます。陸別が“道東の内陸なのに独特に冷える”背景には、こうした境界地形としての性格が下敷きにあります。


2) 地形の核:山に囲まれた内陸—冷気が溜まる「盆地/谷底」の論理

陸別の寒さを理解する最短ルートは、気象より先に地形です。町は「周辺が小高い山に囲まれる内陸」という説明が繰り返し出てきますが、これは単なる景観描写ではなく、寒冷化メカニズムの主役です。陸別町公式サイト+1

寒い夜、地表は宇宙に向かって熱を放出し(放射冷却)、空気が冷えます。海に近いと風が混ざり温度が均されやすいのですが、陸別は内陸で、しかも山地・台地に囲まれるため、冷えた空気が重力で斜面を滑り落ちて谷底に集まり、逃げにくい。結果として、同じ緯度の場所より気温が下がりやすい「冷気湖(コールドプール)」に近い状態が起きます。町自身も、冬の晴天率の高さと放射冷却によって**−30℃を下回ることがある**と説明しています。

世界でいえば、こうした“冷気が溜まる内陸盆地”は、北米内陸(例:アラスカ内陸)やユーラシア内陸(例:シベリアの盆地)でも典型的で、陸別はそのミニチュア版として理解できます。緯度だけを見ると、北緯43度台はヨーロッパの温暖な都市とも同程度ですが、**「海からの距離」と「谷地形」**が、体感も統計も別世界にしてしまうのです。


3) 「日本一寒い」は定量で裏づけられた:寒冷大陸性(Dfb)としての陸別

陸別が“日本一寒い町”と呼ばれるのは伝聞ではなく、気象庁観測データを用いた分析が、日本気象学会の学術誌『天気』に掲載されています(2007〜2016年の10年間データに基づく検証)。


この種の検証が成立する背景は、陸別がケッペンの気候区分でいう冷帯(亜寒帯)系=湿潤な大陸性の性格を強く持つことです(日本の中では北海道内陸がその代表)。

ここでのポイントは「雪が多い/寒い」だけではありません。陸別の冬は、晴れて風が弱い日があるほど放射冷却が効き、朝に一気に落ちます。町の説明でも、冬の晴天率が高く、早朝に放射冷却で気温がぐっと下がることが強調されています。
この“晴れているからこそ寒い”という逆説が、陸別の地理的個性です。

さらに、独自観測・集計として「しばれ技術開発研究所」の観測値(例:−38.4℃)などが紹介されることもあります。公的観測網とは扱いが別としても、陸別の冷え込みポテンシャルの大きさを物語ります。


4) ところが近年、猛暑も来る:寒冷地が“極端化”の最前線になる

世界の気候変動の議論で重要なのは、「平均が少し変わる」よりも、極端現象(極端な暑さ・寒さ)の出方が変わることです。象徴的に、陸別は“日本一寒い町”を掲げつつ、近年の熱波の中で**観測史上最高の高温(36.6℃)**を記録した、と報じられています。

寒冷地ほど温暖化の影響が目立ちやすい(積雪・凍結・森林病害などへの影響が連鎖する)という世界的傾向とも重なり、陸別は「寒さの町」であると同時に、寒冷地の変化を観測する前線基地にもなっています。


5) 「暗い空」が地理資源になる:星空・大気観測・オーロラ研究が成立する条件

陸別のもう一つの世界級の特徴は、寒さと並ぶ**“空の質”**です。空が澄み、光害が小さく、冬に晴れやすい——この条件が重なると、天文学・大気科学にとって強烈な資源になります。

実際に陸別町は、環境庁(現・環境省)が昭和62年度に実施した「星空の街コンテスト」で選定された「星空の街」群と接続する文脈に置かれており、環境省自身がその制度背景を説明しています。環境省
また環境省は1997年に「ライトダウンコンテスト」の結果として「星空にやさしい街10選」を公表しており、そのリストに陸別町が含まれています。環境省

この“星空資源”を具体の施設に落としたのが銀河の森天文台(りくべつ宇宙地球科学館)です。一般公開型として日本最大級クラスの115cm反射望遠鏡を備えることが、町の公式情報として明記されています。陸別町公式サイト+1
さらに、天文台には名古屋大学や国立環境研究所に関わる観測拠点が併設され、成層圏・対流圏の大気やオーロラ等の研究を行う旨も公式に説明されています。
観光地に見えて、実は「空を測る場所」でもある——この二重性は、世界の寒冷地・山岳地の観測拠点(たとえば北欧・北米の公開天文台や大気観測所)と同じ地理条件で成立しています。


6) 森林が町の8割:寒冷地の土地利用(林業・酪農)が“地理の帰結”として見える

陸別は面積の大きい町で、町の説明では面積の8割が森林、そして人口の約4倍の乳牛という特徴が挙げられ、基幹産業が林業と酪農であるとされています。
これは偶然ではありません。

寒冷な内陸で、積雪期が長く、気温の年較差も大きい地域では、稲作のような作物中心の土地利用より、森林資源の循環利用や、牧草・飼料作物を土台にした酪農が合理的になりやすい。世界の冷帯(亜寒帯)で“森と酪農・畑作”が組み合わさりやすいのと同じ構造です(冷帯湿潤域で混合林が広がる、などの一般論とも整合します)。


7) 水系・川・生態系:十勝川水系につながる「寒冷な流域」の顔

陸別町の川は、十勝川水系の議論ともつながります。国交省系の水文情報では、十勝川水系・陸別川の観測所として、所在地と緯度経度が示されています(北緯43度31分31秒/東経143度48分24秒)。河川情報プラットフォーム
また、十勝川水系の概要資料では、最大支川の一つである利別川が陸別町から足寄町などを経て十勝川へ合流する流域像や、河畔林・魚類・鳥類などの環境の説明がまとめられています。国土交通省

寒冷地の川は、凍結・融雪・氷盤・雪代(融雪出水)といった季節過程が強く、流域の植生(森)と直結します。つまり陸別は、星空だけでなく、寒冷流域の水文学・生態系という意味でも“世界の冷帯の縮図”として読めます。


まとめ:陸別町は「寒さ」だけではなく、冷帯内陸の地理学が凝縮した場所

陸別町の世界的レベルの地理的特徴を一言でまとめるなら、次の3点です。

  1. 太平洋側(十勝)とオホーツク側の境界にある内陸で、分水嶺・山地に縁取られた“境界地形”を持つ。
  2. 晴天+放射冷却+冷気溜まりが強烈に効くため、寒さが定量的に裏づけられ、「日本一寒い」を地理学的に説明できる。
  3. その大気の澄明さが、星空資源・天文・大気(オーロラ等)観測を成立させ、観光と科学が同じ地理条件に根を張る。

陸別の魅力

陸別町の魅力は、地理が生んだ“極端さ”を、暮らしと体験に変えているところです。氷点下の放射冷却がつくる凛とした朝、そして空気の透明度が押し上げる星空——その条件があるからこそ、銀河の森天文台での観望会のように「世界級の空」を気軽に味わえます。

さらに、寒さそのものを楽しむ「しばれフェスティバル」では、氷のかまくら(バルーンマンション)で一夜を過ごす“人間耐寒テスト”など、陸別でしか成立しない文化が生きています。日本一寒い町 北海道 陸別町+2北海道観光公式サイト HOKKAIDO LOVE!+2

森林が町の大部分を占め、酪農が基幹産業として根を張る風景も含めて、陸別は「寒さ・森・空」が一体になった、静かで力強い寒冷地の魅力を体感できる場所です。