参政党の外国人政策提言について、その違憲性を問う

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私、はらだよしひろが、個人的に思ったことを綴った日記です。社会問題・政治問題にも首を突っ込みますが、日常で思ったことも、書いていきたいと思います。

参政党の「外国人問題に対する政策提言(令和7年12月)」が出ました。

参政党-外国人政策-最終版-20251225

参政党の「外国人問題に対する政策提言(令和7年12月)」は、
①受入れ総量・資格・送還の“入口と出口”、
②社会保障・教育・宗教・埋葬といった“生活領域”、
③研究安全保障や不動産など“国家安全保障領域”を一気に束ね、「秩序」と「不安の解消」を前面に出す設計になっています(同党PDF)。参政党

ただし、政策は「問題意識」だけでなく、**合憲性(権利制約の限界)/実行可能性(制度・人員・費用)/副作用(差別・萎縮・地下化)**の三点セットで評価しないと、目的に反して社会の分断や行政の恣意を増幅します。

前提として、日本国憲法の文言は「国民」を主語にする条文が多い一方、判例・通説上、外国人にも保障され得る自由権(13条の人格尊重、19条良心、20条信教、21条表現、31条適正手続など)が広く論じられてきました。したがって焦点は「外国人に権利がない」ではなく、①目的の正当性、②手段の必要性・相当性(比例原則)、③手続保障と救済、④差別・恣意の防止で考えなければなりません。特に憲法違反と思われる個所について、厳しくチェックする必要があります。


目次

まず、参政党提言に関するファクトチェック(根拠が置ける所だけ)

  • 在留外国人数は、令和7年6月末で約395万6,619人(入管庁公表)で、「約400万人」という記述は概ね近い。
  • 内閣官房に「外国人との秩序ある共生社会推進室」が令和7年7月15日に設置されたのは事実。首相官邸ホームページ
  • “日本版ESTA”のJESTAは、政府資料・法務大臣会見等で2028年度中の導入を目指す整理が見える。法務省+2法務省+2
  • 中国人向け「10年間有効の観光数次査証」新設は外務省が方針として言及している一方、2025年10月時点で未実施との会見記録がある。外務省+1
  • 外国人の生活保護は、1954年通知で「準用」運用が続き、最高裁(2014年)趣旨として「生活保護法上の『国民』に外国人は含まれない」が確認される、という自治体整理がある。習志野市
  • 国民年金の最終納付率:全体84.5%、外国人49.7%(厚労省資料)。厚生労働省+1
  • 国保保険料納付率(一定期間・集計可能自治体ベース):全体93%、外国人**63%**という整理が研究機関・報道で共有され、政府も制度連動(在留審査への反映)を進める動きが報じられている。ディレクトリ+1
  • 火葬・埋葬の統計は厚労省「衛生行政報告例」で公表されているが、提言の示す**99.98%**という一点の厳密照合は、ここでは当該統計の個票確認ができないため「ほぼ火葬が主流」という域を超えて断言しない。厚生労働省

17提言:合憲性・実効性・副作用・ファクトチェック

1. 外国人総合政策庁の設置/中長期計画

  • 合憲性:低リスク(組織再編自体は可)だが、権限集中は国会統制・情報公開(41条等)の設計が要。
  • 実効性:中(縦割り調整は強化できるが、人員・KPI・自治体連携がないと看板倒れ)。
  • 副作用:取締り偏重だと「共生」施策が後景化し、現場の過剰萎縮・通報社会化。
  • ファクトチェック:既に官房に司令塔「推進室」設置済みで、重複設計の精査が必要。首相官邸ホームページ

2. 外国人による不動産取得規制

  • 合憲性:中〜高(29条財産権+14条平等+98条条約の緊張。対象・手続の比例原則が肝)。
  • 実効性:中(名義・実質支配者、法人・信託・転売の抜け穴対策がコスト高)。
  • 副作用:市場冷却、地方の空き家流動性低下、国籍で線を引くと対抗措置の誘発。
  • ファクトチェック:重要土地等調査法の指定区域は地図で公開され、現行枠は「限定的」という批判もある。レジュメ2

3. 水際対策・送還の厳格化(JESTA、送還忌避、航空会社協力義務等)

  • 合憲性:高リスク(31条適正手続、13条家族・子の利益、濫用防止と権利保護の均衡が必須)。
  • 実効性:中(JESTA等で入口は強化可だが、送還は相手国・身元確認・拘束コストがボトルネック)。
  • 副作用:過度な“締め付け”は地下化・偽装化を促進し、結局現場負担が増える。
  • ファクトチェック:JESTAは2028年度導入目標、政府の不法滞在対策とセットで語られている。法務省+2法務省+2

4. 偽装難民防止

  • 合憲性:中(難民条約・補完的保護との整合=98条、審査迅速化でも手続保障が核)。
  • 実効性:中(調査官増員は効くが、質を落とす“処理件数主義”は逆効果)。
  • 副作用:誤判定(真の迫害を見落とす)時の回復不能性が大きい。
  • ファクトチェック:入管庁は令和5年改正の論点(送還停止効の例外等)を公表している。法務省

5. 不法滞在・不法就労の取締り強化(AI抽出、立入等)

  • 合憲性:中〜高(13条プライバシー、35条令状主義との接合、恣意的職質・摘発の差別防止)。
  • 実効性:中(雇用主規制・賃金台帳の整備は効くが、AIは誤検知と説明責任が課題)。
  • 副作用:外国人一般への疑念が常態化し、正規雇用・通学の萎縮を招く。
  • ファクトチェック:政府の「不法滞在者ゼロプラン」実施状況が公表されている。法務省

6. 各種在留資格の見直し(技人国の趣旨逸脱等)

  • 合憲性:低〜中(制度目的の明確化は可。恣意運用になると14条・31条問題)。
  • 実効性:中(実態審査・監査の人員が要。書類主義のままだと抜け穴温存)。
  • 副作用:過度に狭めると人手不足分野が“闇ルート”に寄る。
  • ファクトチェック:育成就労など制度再編が進行しており、「体系設計」の一貫性が問われる。厚生労働省+1

7. 帰化要件の厳格化(試験、誓約、在留年数逆転解消等)

  • 合憲性:高リスク要素あり(国旗国歌尊重“誓約”は19条良心の自由との摩擦が生じ得る)。
  • 実効性:中(試験導入は可能だが、運用が思想審査化すると違憲争点化しやすい)。
  • 副作用:同化圧力が強いほど、周縁化・分断を強める(統合の逆機能)。
  • FC:諸外国で知識試験があるのは事実だが、日本で導入する場合は“思想の自由”との境界線が核心。

8. ビザ/渡航危険レベル見直し(中国10年観光ビザ凍結、トルコ査証免除停止等)

  • 合憲性:低(外交・入国管理の裁量領域。ただし恣意的差別に見える設計は回避)。
  • 実効性:中(ビザは即効性があるが、経済・観光への副作用も即時に出る)。
  • 副作用:相互主義で邦人が不利益を受ける可能性。
  • ファクトチェック:外務省は中国向け10年観光数次査証に言及する一方、未実施との説明もある。外務省+1

9. 治安悪化対策(自治体部局、協議会、モデル横展開等)

  • 合憲性:中(適法な地域安全は可。ただし民族・国籍プロファイリングは憲法14条問題)。
  • 実効性:中〜高(多言語相談・協議会は現場で効きやすい“共生寄り”の施策)。
  • 副作用:制度が“監視装置”化すると信頼が壊れ、通報合戦になる。
  • ファクトチェック:治安不安は「体感」と「統計」の乖離が起きやすく、指標設計が必要。

10. 外国人への生活保護支給禁止

  • 合憲性:高リスク(憲法25条は文言上「国民」だが、憲法13条人格尊重・国際人権との整合で“全面禁止”は争点化しやすい)。
  • 実効性:中(制度設計で絞り込みは可能でも、困窮の“出口”を作らないと自治体現場が破綻)。
  • 副作用:路上化・犯罪被害・公衆衛生悪化など、結局コストが別勘定で跳ね返る。
  • ファクトチェック:1954年通知による準用運用と、2014年最高裁趣旨(外国人は法の「国民」に含まれない)が自治体でも整理されている。習志野市

11. 外国人の医療保険制度利用要件の見直し(民間保険、更新審査連動等)

  • 合憲性:高リスク(憲法25条・14条・13条の観点から、過度な排除は“医療へのアクセス”を毀損)。
  • 実効性:中(未納対策として在留審査連動は効く可能性、ただし徴収実務と救急対応は別問題)。
  • 副作用:無保険化→受診控え→重症化→救急逼迫、の逆流。
  • ファクトチェック:年金納付率(全体84.5%、外国人49.7%)が公表され、国保でも納付率格差が論点化。毎日新聞+3厚生労働省+3厚生労働省+3

12. インバウンド/オーバーツーリズム対策(JESTA手数料変動、二重価格等)

  • 合憲性:中(国籍で価格差を設けると憲法14条・差別印象の問題。居住者割引など“目的合理性”が鍵)。
  • 実効性:中(混雑課金は効くが、地域分散は交通・宿泊供給の制約が大)。
  • 副作用:観光依存地域の反動、国際評判の毀損。
  • ファクトチェック:JESTAは政府のDX・水際強化の文脈で2028年度目標が示される。内閣府ホームページ

13. 日本語教育で文化・制度学習徹底(未達へのペナルティ等)

  • 合憲性:中〜高(制裁は13条・22条(居住移転)・26条(教育)との均衡、過度なら違憲争点)。
  • 実効性:中(教育投資は効くが、罰で回すと“形式受講”が増える)。
  • 副作用:学習困難層の排除→孤立→摩擦増という逆機能。
  • ファクトチェック:欧州例の輸入は「制度文脈」が違うため、同じ効果を前提にしないこと。

14. 私学助成・留学生奨学金

  • 合憲性:中(26条教育機会、14条平等、23条学問の自由と大学自治の緊張)。
  • 実効性:中(透明化は可。ただし国籍で一律に締めると研究・教育の国際競争力が落ちる)。
  • 副作用:大学の財務悪化が教育の質低下として跳ね返る。
  • ファクトチェック:「国籍偏在」の有無は大学別データで検証可能だが、政策目的(安全保障/教育機会)を分けて議論すべき。

15. 来日研究者の身元調査・先端研究流出対策

  • 合憲性:中〜高(23条学問の自由、13条プライバシー、14条差別の疑い。個別具体のリスク評価が必須)。
  • 実効性:中(研究セキュリティは必要だが、国籍一括で締めると“ザルの別ルート”が生まれる)。
  • 副作用:優秀人材の忌避、共同研究の停滞。
  • ファクトチェック:各国で研究セキュリティ強化は進むが、成功例は「国籍」より「分野・アクセス権限・内部統制」で設計する傾向。

16. 宗教法人制度の悪用防止

  • 合憲性:高リスク(20条信教の自由。監査強化は可でも、宗教活動の実質評価が国家介入になり得る)。
  • 実効性:中(会計透明化は一定効くが、地下化・名義分散も起こる)。
  • 副作用:正当な宗教活動の萎縮、マイノリティ宗教の排除。
  • FC:「悪用」事例の実数・類型を出さずに拡大規制へ行くと、立法事実が弱い。

17. 原則火葬(国内死亡時の火葬か本国搬送の二択、来日時同意)

  • 合憲性:最も高リスク(20条信教の自由、13条人格尊重。全面禁止は“必要最小限”の壁が厚い)。
  • 実効性:低〜中(法改正はできても、遺族感情・宗教配慮・国際摩擦で運用が硬直化)。
  • 副作用:特定宗教への排除メッセージ化→差別扇動の温床になり得る。
  • FC:埋葬・火葬の統計は国の統計で公表されるが、衛生・災害リスクの立法事実は地域別に精査が要る。厚生労働省

どこが「違憲の火薬庫」か(重点抽出)

  1. **生活保護・医療の“原則禁止”**は、たとえ条文上の主語が「国民」でも、現実には困窮者・傷病者を放置しない行政責任(13条・25条の解釈、国際人権、自治体現場の救急・福祉)と衝突しやすい。最高裁趣旨が「権利性」を否定したとしても、全面排除=合憲とは直結しません(政策は「出口」を設計して初めて成り立つ)。習志野市+1
  2. 信教の自由(20条)に刺さるのが、宗教法人規制の拡張と、原則火葬です。ここは「不正資金対策」や「公衆衛生」の目的があっても、宗教実践そのものの制約になるため、必要性・代替手段(特定区域・設備基準・監督強化・環境規制)を尽くさないと、比例原則で崩れます。
  3. 入管・難民・送還の厳格化は、国家主権領域で裁量が広い一方、誤判定の不可逆性が極めて高い。AI活用・送還加速は、とりわけ31条(適正手続)と98条(国際法)にまたがる争点を孕みます。法務省+1

超護憲的観点から見る“別解”(罰と排除より、法の支配と実証)

私の「超護憲的日本国憲法改正案」系の議論は、方向性としては「人権・平和主義を徹底し、統治機構を整備して恣意を減らす」発想に寄っています。はらだよしひろ(原田芳裕)のページ+1
この観点からは、参政党提言のうちも、(A)運用の透明化(データ公開・人員増・手続迅速化)は採り得る一方、(B)国籍や宗教に“原則禁止”で線を引く設計は、人権保障と相性が悪い、という評価になります。

“超護憲”的に現実解を作るなら、例えばこうです。

  • 社会保険未納対策は「排除」ではなく、入国時の制度説明・多言語徴収・雇用主責任・在留更新での客観審査へ(恣意を消す)。毎日新聞
  • 不動産は「外国人だから」ではなく、重要インフラ・水源・軍事施設等の機能毀損リスクを軸に、実質支配者と資金洗浄対策で詰める(対象限定+手続保障)。レジュメ2
  • 難民審査は、棄却の迅速化より先に、調査官増・質保証・不服申立ての実効化(誤判定のコストを直視)。
  • 葬制は“全面禁止”でなく、環境・衛生・災害・地下水の客観基準と、自治体合意形成の枠組みで調整(信教の自由を正面から扱う)。

結論:提言を「憲法に耐える政策」に作り替える条件

参政党提言は、統計・現場負担・不公平感に触れながら、解決手段がしばしば「原則禁止」「厳格化」に寄ります。しかし、憲法の試験紙はそこではなく、**“必要最小限か/手続が厚いか/差別と恣意を抑えられるか/副作用を見積もるか”**にあります。
とくに「外国人への生活保護支給禁止」「外国人の医療保険制度利用要件の見直し」「外国人による宗教法人制度の悪用防止」「原則火葬による埋葬」は、立法事実の薄さと権利制約の大きさが釣り合わないと、違憲論点が集中します。逆に「外国人総合政策庁の設置と外国人受入れに関する中長期計画の確立」「治安の悪化対策」、そして**「日本語教育を通じた日本文化・習慣・制度の学習徹底」のうち、日本語教育の提供体制整備(教材・人材確保、学習支援、自治体間格差の是正等)といった“支援策”部分**は、設計次第で合憲かつ実効性も出し得る。

必要なのは、「不安の言語化」ではなく、**不安を減らす“測定可能な行政”**です。データ公開、手続保障、救済、そして何より、外国人を一括りにしない政策設計。ここまで作り込めて初めて、「秩序」と「共生」は両立します。

あえて言うと私は、この参政党の政策は・・・・

違憲性の強い外国人政策の提言

なのではないかと思うのです。

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私、原田芳裕は、様々な方と繋がりたいと思っています。もし、私と繋がりたいという方は、是非、下のメールフォームから、ご連絡ください。ご相談事でも構いません。お待ちしております。

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