連合(労働組合)は存在意義を保てるか?
連合の執行部は、「共産嫌い」で自分たちを勝手に洗脳している。
ある記事をネットで見ました。
私は有料会員ではないので、途中までしか読めていないのですが、今の芳野会長は「自分がない」「ただ、連合の会長の椅子に座っているだけ」という印象を受けました。紹介します。
連合は共産党とは相いれない
芳野友子・連合会長2022年2月3日
連合は自由で民主的な運動
私が会長に就任してから、連合と共産党との関係についての私の発言がよく報道される。しかし、前会長の神津里季生氏と同じことしか言っておらず、困惑している部分もある。
そもそも連合の労働運動は、自由で民主的な労働運動を強化、拡大していくというところから始まっている。その点で共産とは考え方が違い、相いれない。現実的にも、連合の組合と共産党系の組合は職場、労働運動の現場で日々競合し、しのぎを削っている。
労働組合に関わりのない方々には分かりづらいことかもしれないが、戦後の労働運動や連合が結成に至った経過などを説明すれば理解していただけるはずだ。
立憲が何を目指しているかわかりにくくなった
先の衆院選では、共産が選挙運動の前面に出たことによって、現場によっては選挙対策本部に入ることや、街頭で弁士として並ぶことが難しい事態が起きた。結果として連合の動員力が発揮できないことがあった。
また、立憲と共産の党首会談で「限定的な閣外からの協力」という合意がなされたことで、あたかも立憲が共産とともに政権を担うかのような印象を与えてしまった。
そのこと自体への反発も大きかったが、そのことに注目が集まってしまったことで、立憲という政党自身が何を目指しているか、どういう国や社会を作っていきたいかが、有権者にわかりにくくなった。共産と一緒になって立憲は一体何をやるのか、と受け取られたのではないか。
もちろん、それぞれの候補者が訴える個別の政策はわかりやすく、素晴らしいものだった。しかし、全体像が見えにくくなってしまった。
政党にはそれぞれの国家観、どのような社会を作っていくかという考え方があるはずだ。選挙戦で協力することはあり得るが、基本にはそれぞれの党が自立していることが重要だと考えている。
芳野会長の本音が垣間見える記事だと思います。
「そもそも連合の労働運動は、自由で民主的な労働運動を強化、拡大していくというところから始まっている。その点で共産とは考え方が違い、相いれない。現実的にも、連合の組合と共産党系の組合は職場、労働運動の現場で日々競合し、しのぎを削っている。」
共産党系の組合というのは、存在しません。おそらく「全労連(全国労働組合総連合)」のことを指していると思われますが、その行動綱領には、次のようにあります。
全労連は、次の基本的な目標の実現をめざしてたたかいます。
1、私たちは、大幅賃上げ、全国一律最低賃金制の確立、労働時間短縮、「合理化」反対、雇用保障、働く女性の地位向上、ILO条約など国際労働基準への到達をはじめとする労働者の切実な要求の実現をめざします。
2、私たちは、軍拡・臨調行革路線に反対し、社会保障制度の拡充、消費税廃止、コメ農畜産物の輸入自由化反対、農林漁業・石炭産業など第一次産業の再建、生活関連社会資本の拡充などを中心とした国民的諸要求の実現をめざします。
3、私たちは、職場での民主主義の保障、不当労働行為の根絶、労働者と労働組合の団結権・団体交渉権・団体行動権の完全確保をめざします。
4、私たちは、身分・人種・国籍などによるあらゆる差別の撤廃と、男女平等をはじめ、すべての人々の基本的人権の保障をめざします。
5、私たちは、結社の自由および言論・出版など表現の自由をまもり、民主教育の確立、豊かな文化・スポーツの創造をめざします
6、私たちは、独占大企業にたいする民主的規制、中小企業の振興、互恵・平等の通商、経済民主主義の確立と、国民本位の税制、民主・効率・公正な行財政、地方自治の確立をめざします。
7、私たちは、未組織労働者の組織化と、すべての労働者と労働組合を結集した労働戦線の統一をめざします。
8、私たちは、天皇「元首化」、憲法改悪、司法の反動化に反対し、憲法の民主的条項の擁護と企業・団体献金の禁止など政治資金規正法の改正、一八歳選挙権付与をはじめとする民主的な選挙制度の確立をめざします。
9、私たちは、日米安保条約廃棄、米軍基地の撤去、非核三原則の法制化、被爆者援護法の制定をめざします。
10、私たちは、国民本位の政治・経済と、非核・非同盟・中立・民主の日本を実現する統一戦線の樹立をめざします。
11、私たちは、核戦争阻止、核兵器の廃絶、すべての軍事同盟の解消、世界の恒久平和の実現と民族主権を尊重した「新国際経済秩序」の確立、地球環境の保全をめざします。
全労連は、次の点を基本に活動をすすめます。
1、私たちは、「みんなで決めて、みんなでたたかう」という組合民主主義の徹底をはかり、組合員が全労連の活動のすべてについて自由に意見が表明できることを保障します。
2、私たちは、資本(企業)・政府、政党からの完全な独立を堅持します。
3、私たちは、特定の政党を支持も排除もせず、組合員の思想・信条の自由と政党支持・政治活動の自由を保障します。政党とは、一致する要求・課題にもとづいて協力し、共同行動を推進します。
4、私たちは、企業内労働組合の弱点の克服を重視し、職場を基礎にした産業別統一闘争の前進と地域闘争の強化に努めます。
5、私たちは、各産業別のたたかいと各地域のたたかいを調整し、全国的な統一闘争を組織します。
6、私たちは、経済闘争と政治闘争を正しく結合して運動をすすめます。
7、私たちは、全労連に加盟していない労働組合との友好・連帯を深め、共同闘争の前進をはかります。
8、私たちは、未組織労働者を含めてすべての労働者の要求実現と国民的な要求課題実現の共同のたたかい、協同組合組織などとの友好・連帯活動にとりくみます。
9、私たちは、労働者・国民の生活と権利にかかわる制度・政策課題の実現にむけて政府・経営者・経済団体などとの交渉を重視します。
10、私たちは、自主的な立場からの積極的な政策提言と労働者教育および労働者福祉の活動を推進します。
11、私たちは、労働者の権利擁護、要求前進のため「万国の労働者、団結せよ」の立場で、国際連帯を推進します。
この中に、「3、私たちは、特定の政党を支持も排除もせず、組合員の思想・信条の自由と政党支持・政治活動の自由を保障します。政党とは、一致する要求・課題にもとづいて協力し、共同行動を推進します。」とあり、一致する点があれば、どの政党とも運動をするのです。
ただ、共産党と政策が一致することが多いということです。
実際に、全労連の愛知県の組織である、愛労連は、2021年の新春の学習会に、自民党の務台議員を講師として呼んで、最低賃金について学びました。
また、全労連やその地方組織、傘下の労働組合は、国会議員・地方自治体に組織内議員を送っていないことも特徴です。推薦もしていません。
ですから、「共産党系の組合」は、存在しないのです。
ちなみに、連合は、ホームページに「連合の政治理念。連合の政治活動」を載せています。
連合の政治理念
1.連合は、労働組合の使命として、主権在民、基本的人権の尊重、恒久平和を基調とする日本国憲法の理念に沿い、労働基本権をはじめとする人権、自由、平等、民主主義を擁護し、社会的公正・正義を追求し、平和な社会および男女平等参画社会の実現をめざす。
2.連合は、政府、政党などとは異なる自主的組織としての主体性を堅持しつつ、目的と政策を共有する政党および政治家と協力して、労働者とその家族の労働と生活環境の改善をはかり、真の「ゆとり・豊かさ」を実現する。
3.連合は、誰もが公正な労働条件のもと、多様な働き方を通じて社会に参加し、相互に支え合う「働くことを軸とする安心社会」の構築を通じて希望と安心の社会を実現する。
4.連合は、日本の労働運動の国際的責務を深く自覚し、世界平和の達成と諸国民の共存共栄および地球環境保全のために努力する。
連合の政治活動
1.組合員の政治意識の向上と政治活動への積極的参加。
2.審議会等政府・地方自治体の諮問機関への参加と、支援政党・政治家と連携した政策・制度の実現。
3.政党や市民グループ、諸団体等と連携した、政策・制度実現に向けた世論喚起、大衆行動の展開。
4.法令を遵守し、社会通念上も節度を持った政治活動の推進。
5.「働くことを軸とする安心社会」実現のための政党・政治家への支援・協力。政策協定を結んだ政党・政治家に対する政策・制度実現に向けた要請。
ここに、『「働くことを軸とする安心社会」実現のための政党・政治家への支援・協力。政策協定を結んだ政党・政治家に対する政策・制度実現に向けた要請。』とあります。
連合は特定の政党・政治家を支援します!と言っているのです。
そして、これを表すかのように、連合の地方組織や傘下の労働組合は、国会や地方議会に組織内議員を送り、それをホームページに載せています。
連合の地方組織や傘下の組合の、組織内議員が分かるホームページの一部
連合愛知
JIM(芳野会長 出身母体) 組織内議員
こうやって見ると、芳野会長が言っていることは、「自分たちが支援している議員が、共産党の影響力を受けること自体、一切受け付けない」と言っているだけです。
でもね・・・・・、組織として「目的と政策を共有する政党」を支援する、というのは、主権在民や基本的人権の尊重の点からいって問題がありすぎると思います。組織としての政治活動は、政策の一致点という部分でブラッシュアップすればよいだけの話であって、連合会長は「組織内候補や支援している政党のの目的と政策は、連合が独占して然るべき」と言っているようなものです。
ただ、この芳野会長の言い分は、非常に可笑しいのです。目的と政策を共有していれば、その政党がどこの政党と共闘するのかは、本来、問題はないはずです。
ですから、流石にこのような連合芳野会長や連合執行部の言い分に「可笑しい」と意見した組合が、連合の傘下にあります。
全国コミュニティ ユニオン連合会 です。
ここが連合、中央執行委員会で検討された「衆議院選挙の取り組みのまとめ(案)」に対して、意見を述べたのです。
意見の内容は、平たく言うと、「共産党のせいにするのは、お門違いやろ! しかも、共産党のせいにするのは、思想信条の自由に反することや。もっともっと連合として、運動の内容を組合員に広げることに対してどうだったのか総括すべきや。そもそも、共産主義を望む人を排斥するような考え方は、連合が政治理念として掲げている、「労働組合の使命として、主権在民、基本的人権の尊重、恒久平和を基調とする日本国憲法の理念に沿い、労働基本権をはじめとする人権、自由、平等、民主主義を擁護し、」にそぐわないんやで~」ということです。
こういう批判が連合内部から出てるところから見ても、連合執行部は、「共産嫌い」に洗脳されていると言えるでしょう。「連合の共産党へのこだわり」という表現に、それが如実に表れていると思います。