流れる現在が重ねる時は ~ピアノの為の~ When the flowing present overlaps - for piano

私は39歳ごろの時から、本格的に作曲を始めました。そして、この曲は、私が自分の感性で初めて最後まで書ききった曲です。

自分なりの「美しい響き」を求めて書いた曲は、初めは西洋的な3和音から始まるのですが、やがて、同じ主題を繰り返し、若干ソナタ形式に近い流れを取り入れながら、様々な和音で彩られます。古の日本の伝統音楽家は、「2度」の音程が協和して聞こえるという大正時代の実験結果もあります。この曲は、かなり2度の音程が使われていて、その変化がメロディーと響きが一体になる特徴があります。

西洋的な3和音ではなく、自分の感性で選んだ和音を選ぶことで、日本という国の文化に触れて育った私の、内々にある求める美しさを本当に出せた曲です。

この曲の幸運は、なんとコンサートでお客様の前でプロの演奏家の方に演奏いただく機会を貰う幸せを得たことです。初演の場所は、愛知県の犬山市にある「深音の館」というコンサートホールでした。日時は2016年9月25日でした。初演時のライブ録音をここにご提供いたします。