和風の音楽を作るのに、役立つ音楽理論はありますか?
和風の基礎は、5度音程
最近、小田和正(オフコース)さんの曲でこういうアレンジをしてみました。
私の本格的な趣味の一つですが、大好きな曲を「和装オーケストラアレンジ」と銘打って、オーケストラの楽譜にしたため、音源化したものです。
日本の音楽にも、
- 旋法(メロディー音階)
- 和声(ハーモニー)
というものがあります。しかし、その構造は西洋音楽の和声法やメロディー構築法とは異なります。
日本の音楽は、自然に取れる音程から、メロディーラインを構築していった経緯があります。五度和声の複合体から、ハーモニーを見出し、そのハーモニーから旋法が生まれたのです。
箕作秋吉氏の理論
これは戦前・戦中・戦後と物理学者+作曲家として活躍された箕作秋吉氏の理論が興味深いです。
つまり、日本の和声は振動比2:3である「5度」に基礎づけられるというものです。
「笙」の和音は、和風ハーモニーづくりに役立つ
これを如実に証明するかのような楽器があります。雅楽で使われる「笙」です。
笙はハーモニーを奏でますが、その和音の組み合わせが以下になります。
私は先ほど、日本の旋律が「五度和声の複合体から、ハーモニーを見出し、そのハーモニーから旋法が生まれたのです。」と述べましたが、この笙の和音がまさしく『五度和声の複合体』=『5度和声を一つの音として、複数の5度和声(若しくは4度和声)を組み合わせる』なのだということが、上の和音から見て取れるのです。
このことを発見した私は、この「笙」の和音を基に、オーケストラの曲を作りました。
私はこの曲を『オーケストラの為の「和織楽」』と名付けました。日本の音で織った音楽という意味です。日本的な色合いを持ち、西洋音楽体系では説明できない、音の配列で私たちの耳にも馴染む音楽となっています。