農業の将来性を「食べる」という視点から考えてみた。23/12/15

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春日井市在住です。
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私、はらだよしひろが、個人的に思ったことを綴った日記です。社会問題・政治問題にも首を突っ込みますが、日常で思ったことも、書いていきたいと思います。

農業を、食べる!という観点から見たときに、どういうことが考えらるのか、いろいろ試行錯誤してみたいと思います。

しかも、将来性!というときにどうでしょうか。農業と将来性と「食べる」の3つのキーワードであれこれ述べたいと思います。

「食べる」は、結局、農業が無いと、成り立たない。

我々の普段の食卓には、どういうものが並んでいるでしょうか? そして、それは、どういう経緯をもって、この私たちの前に現れるのでしょうか。

禅宗において、食事時にお唱えする。「五観の偈 」というものがあります。

そこから、考えると、農業の本質が見えてくるかもしれません。

禅宗において、食事時にお唱えする。「五観の偈」とは。

一 計功多少 量彼来処

ひとつには、こう多少たしょうはかり、来処らいしょはかる。

二 忖己德行 全缺應供

ふたつには、おのれ徳行とくぎょう全欠ぜんけつはかっておうず。

三 防心離過 貪等為宗

つには、しんふせとがはなるることは、貪等とんとうしゅうとす。

四 正事良薬 為療形枯

つには、まさ良薬りょうやくこととするは、形枯ぎょうこりょうぜんがためなり。

五 為成道故 今受此食

いつつには、成道じょうどうためゆえに、いまこのじきく。

「五観の偈」の意味 ~食事の前に唱える偈文~ - 禅の視点 - life - (zen-essay.com)

五観の偈」を唱えているシーン

この五観の偈」を禅宗の修行において、どう唱えているのか、わかる動画がありますので、ご紹介します。

農業から考えたとき、「五観の偈」 ひとつには、こう多少たしょうはかり、来処らいしょはかる。 から見える視点とは。

私がこの五観の偈に注目したのは、実際に少しだけ禅宗の修行に出た経験があり、その体験から感じることもあったのが契機です。 特に農業と「食べる」を考えたとき、この「ひとつには、こう多少たしょうはかり、来処らいしょはかる。」という偈には、示唆するものがあると思うのです。

そもそも、ひとつには、こう多少たしょうはかり、来処らいしょはかる。 の意味は?

一般的には、この偈は、「この食事ができあがるまでに、どれだけ多くの縁の支えがあったか、どれだけ多くの人々の苦労があったか、想いをめぐらします。」などの意味で、この食物が来た由来に想いを馳せて感謝する意味で唱えられています。

ただ、これは、直訳してしまえば、

この食事にかけられた働きはどれほどかを数え
こう多少たしょうはかり、              

その食事がどのようにしてここへ来たのかを推し量る
来処らいしょはかる。

という意味になります。【肉を食べるということ】「五観の偈」から考える②〜彼の来処ってどこだ?〜 (zenkatsu.site) から

例えば、ご飯ひとつとっても、食卓に上がるのに、かなりの働きがあります。
それを考えるだけでも、想いもよらないほどの縁があるのです。

それでは、ご飯がどのように食卓にあがるのか、見てみましょう。

ご飯はどうやって作られて、食卓まであがるの?
  • 苗づくり
    土を入れた苗づくり専用の底の浅い箱に、よく洗い水になじませた種籾をまきます。ハウスなどでつくる30℃程度の暗い環境で、水をたっぷりと与えながら発芽を待ちます。芽が出たら弱い光を当てながら緑化を促し、徐々に当てる光を強くしていきます。稲の出来の半分は苗づくりで決まるという意味の「苗半作(なえはんさく)」という言葉があるくらい、苗づくりは非常に大切な工程です。農家は細心の注意を払いながら、毎年、苗づくりに挑みます。
  • 田植えの準備
    トラクターなどで田んぼの土を掘り起こして稲が育ちやすい土壌をつくる「耕起(こうき)」を行い、「畔(あぜ)塗り」といって田んぼに貯める水が漏れないように、田んぼを囲う土壁に、田んぼの泥を塗ってヒビや穴を防ぎます。そして、稲が均一な条件で育つよう、田んぼに水を張り土を柔らかく平らにし、水の深さも均一にする代掻きを行います。
  • 田植え
    昔は苗を一つひとつ手で植えていましたが、今は田植え機を使います。稲の品種やその土地の気候を見定めて、ベストなタイミングを農家が判断して作業を行います。
  • 田んぼの管理(除草・追肥など)
    田んぼの管理で大事な作業の一つが除草です。稲を成長させ、豊かな収穫を迎えるためには、雑草は大敵となります。田んぼには除草剤を散布し、畦(あぜ)では草刈りを行います。また、肥料を定期的に田んぼに追加する作業も稲が元気に育つために必要です。
  • 稲刈り
    田んぼが稲穂で黄金に輝くと収穫が始まります。コンバインなどの農機具が用いられ、稲穂を刈り取って籾を分離します。
  • 籾米の貯蔵
    農家がつくった籾米は地域の共同乾燥調製施設であるカントリーエレベーターなどに運ばれます。保存に適した水分量になるよう温風で乾燥させたのち、品質を一定に保つためコンピューターで温度管理をするサイロという円筒形の倉庫に貯蔵します。
  • 籾米から玄米へ
    出荷の際には、必要な分だけサイロから籾を取り出します。籾摺り機で籾殻を取り除き玄米に調製してから、玄米を保管する低温倉庫へと移します。
  • 玄米から精米に
    玄米の表面には茶色い糠の層があります。この層を取り除き精米にするのが搗精(とうせい)作業です。精米にすると、炊くと甘くて柔らかい食べやすいごはんになります。糠の層には豊富な栄養価があるので玄米のままで炊いて食べる人もいます。
  • 袋詰めして商品に
    精米を袋詰めすると、2㎏や5kg、10kgの製品になります。

商品となったお米は、様々な流通経路を経て、私たちの食卓にあがります。

食べ物は、農業を起点として、様々な人が関わって、私たちの口へと運ばれている

今回、ご飯を一つとってみても、食べ物が、農業・漁業を起点にとして、様々な手がかかって、私たちの食卓に届いているのがわかります。

しかも、作物を作り、加工し、管理し、商品となり、流通し、食卓に上がるまで、多くのお金が発生し、雇用が生み出されていることが分かります。

農業とは、作物を作るだけではなく、その管理、加工、流通のプロセスも含めていくと、とてつもない可能性を秘めているものであるとも言えるのです。

こうやって考えると、食べることは、農業+商品の流通があって、はじめて成り立つということが分かるのです。

農業の消費の基準である「食べる」の傾向は?

しかし、「食べる」という行為があってはじめて農業の需要が成り立つわけですから、

今の人がどういうモノを食べる傾向にあるのか? というところを見ていかないと、実は農業の未来を語ることは難しいのではないかと思うのです。

そこで、今までの日本の食卓の変化を知る必要があります。

そこで、基本的な史料となるのが、厚生労働省が行っている、「国民健康・栄養調査」の資料です。

この調査などを元に、日本でどのようなものが食べられてきたかの変化が分かる、図表を見つけましたので、紹介します。

ここから読み取れるのは、①戦後間もない食糧難の時代には、人々は不足していて高価な白米よりも、サツマイモや大麦、きびを多く食べたこと。②1950年代初頭には、米は日本人が好む食事の中心という従来の地位を回復しましたが、西洋の主要食物である肉やパン、乳製品が、間もなく日本人の食生活に大きく入ってきたこと。その結果、③1970年代には、洋食レストランやファーストフードが都市に住む日本人の食習慣をさらに変化させ、朝食や夕食には米食、昼食には麺類という、より伝統的な食事から転じて、都市生活者のほとんどは朝食や昼食には洋食を食べるようになり、米は夕食でしか主食として食べなくなりました。

ということです。現在では、主食としての米の地位は意識してあるながらも、より食生活が多様化していることもあるかと思います。

この便利になった世の中で、人は肉の味を知り、乳製品の味を知り、そこから食生活の多様性を、良いも悪いも含め、感じてきたということです。

では、この状況の中で、安定した農作物の供給をしていくために、何が必要になってくるのか、を見ていく必要があります。

ここでキーワードとなるのが、①肉はどのように生産されるのか? ②乳製品はどのように生産されるのか?ということです。この2つは主に動物の肉体を育てることで生み出されるので、その為の食料・水がどれぐらい必要なのかも勘案する必要性があります。

①肉はどのように生産されるの? (どれぐらいの、食料と水が必要?)

肉もそうですが、日本はかなりの食料品を海外から輸入している事実があります。ただ、今回は「農業」という点から、日本における、肉の生産について、考えてみましょう。

ここに一つの自給率の数字があります。

このため、卵や乳製品を含めた畜産物全体でみると、カロリーベースの自給率が15%であるのに比べて、生産額ベースでは56%と高くなっており、全体の3割近くを占めている

その4:お肉の自給率:農林水産省 (maff.go.jp) から

つまり、国内の畜産物は、付加価値もついた上で消費がされている! という現状です。
そこを考えたとき、国内生産で賄えない部分を輸入に頼っていくということは必要になってきます。

ですが、国内の農業を発展させていくには、どうしたら良いのか考えたとき、肉であれば、肉を作っている人々の視点から、生産を考えていくのが、一番でしょう。

そこでこのサイトを見つけました。

和牛ブランドを生産している農家のサイトですが、種付け・妊娠から、肉屋に並ぶまで、肉がどのように商品となっていくのか、分かりやすく説明しています。

こういう肉が生産されていく過程で、飼料=牛や豚の食べ物が消費されていきます。この飼料もまた、生産されるものです。では、どれだけの飼料が、肉牛や豚の生産に使われるのでしょうか。

肉牛の生産に使う飼料の量

実は、この点に関しては、農林水産省の簡単な試算が出ているだけですが、ご紹介します。

ベースとなるのは、こちらの農林水産省が出している「知ってる?日本の食糧事情2022」というパンフレットです。

(参考)畜産物1kgの生産に必要な穀物量:牛11kg、豚肉5kg、鶏肉3kg、鶏卵2kg
(部分肉ベース。鶏卵については1kgを生産するために必要な穀物量)
農林水産省で試算。(全ての穀物等飼料をとうもろこしに換算)

panfu1-12.pdf (maff.go.jp) から

ここから牛の肉1㎏を作るのに、必要な穀物は11㎏と分かるのです。

そして、肉牛が出荷されるときの1頭当たりの体重が700~800キロくらいなので、

肉牛一頭を出荷するまでの必要な穀物は、7700㎏~8800㎏ということが分かるのです。

②乳製品はどのように生産されるの?

では、乳製品はどのように生産されるのでしょうか?

これは、乳牛の一生を見るところからが分かりやすいかもしれません。
この乳牛の一生を図で、見てみましょう。

乳牛は子牛を生んで、初めて牛乳を生産するようになります。そのため、生まれてから約24ヵ月齢で、最初の分娩を迎えるように管理されるのが一般的です。

子牛が母牛のお腹で育つ期間は10ヵ月ですから、性成熟(お産ができる体)に達する14ヵ月齢頃には交配し妊娠させます。乳牛は子牛を生んでから約10ヵ月もの間、牛乳を出し続けます。

その後も平均13~14ヵ月ごとに分娩を繰り返し、牛乳を生産していきます。

牛乳の生産量が減るなど、乳牛としての価値が落ちる5~6年齢頃に、肉用として出荷されます。

親子で学ぶちくさん|飼料・畜産情報|ジェイエイ北九州くみあい飼料株式会社 (jakks.jp) から

そして、乳牛一頭当たりの、年間牛乳生産量は、2020年で8,806㎏/頭 となっております。

生乳生産量と経産牛1頭当たり生産量の推移
日本の酪農の現在 ~牛乳が生まれる原点のところ~│一般社団法人日本乳業協会 (nyukyou.jp) から

乳牛にかかる飼料の量は?

先ほど、肉牛1㎏にかかる飼料は11㎏とお伝えしました。そして、和肉牛が出荷されるまでの期間が約2年半 なので、そこから、乳牛が肉用として出荷される年が5~6歳ということを考えれば・・・・

乳牛1㎏にかかる飼料は22㎏と推察することができます。そして、乳牛の体重が600㎏~800㎏になるので、乳牛一頭にかかる飼料は、13200㎏から17600㎏と言えます。とすると、乳牛が生産する牛乳量を計算すれば、牛乳1㎏あたりにかかっている飼料が計算できます。5年で肉牛として出荷されるとした場合・・

牛乳1㎏に使われる飼料は?

乳牛1頭600kg 13200㎏÷(5年ー2年)×8806㎏=0.4996㎏/飼料1㎏

乳牛1頭800kg 17600㎏÷(5年ー2年)×8806㎏=0.6662㎏/飼料1㎏

となります。

肉は消費が多いが・・・・(まとめ)

農業を考えたとき、肉牛は、消費する飼料が多いという印象を受けました。飼料自体も、自給率が低いことを考えると、将来的にリスクも高いものであるとも言えます。

その反面、牛乳は、使う飼料の単価も低いということも分かってきました。

今回、思わぬところから、私たちが食べる⇒食べた食材が食べたものという観点に行きましたが、これ以上色々調べると、いくらあっても足りないので、やめておきます。

ただ、食は「安全」に健康を提供するものではなくてはいけません。

冒頭に申し上げた「五観の偈」の4番目に、このような「偈」があります。

つには、まさ良薬りょうやくこととするは、形枯ぎょうこりょうぜんがためなり。

「五観の偈」 より

これは、「この食事を食べるのは、健康を維持するためである」とも読み取れるものです。食事は良薬であり、肉体の活力を維持するためである!と言っているのです。

一方で多くの食が捨てられている、「食品ロス」の問題(クリックしてください)もあります。「食べる」から農業を考えた場合、ロスとなっている食品を調整していくことも、農業にとっては大事なことだと思うのです。

今回、自分なりにいろいろ考えてみようと思いましたが、農業が「食べる」という人間の生にとって基本中の基本の部分であるがゆえに、奥深いものがあることも感じています。

ですが、このことをきっかけに、農業のことも考えていきたいと思っています。

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私、原田芳裕は、様々な方と繋がりたいと思っています。もし、私と繋がりたいという方は、是非、下のメールフォームから、ご連絡ください。ご相談事でも構いません。お待ちしております。

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