【選挙の問題点】母のすい臓がんに向き合って、統一地方選に立候補した経験から考える

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春日井市在住です。
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私は、2023年4月に行われた、統一地方選において、春日井市議会議員選挙に立候補し、見事に落選いたしました。
春日井市議会議員選挙 2023年 はらだよしひろ、見事に落選いたしました。 - はらだよしひろ(原田芳裕)のページ (pawaharasoudan.jp)
実は、この選挙は、母のすい臓がんステージ4(=死に向かう)と向き合いながらのものでした。
その経験を踏まえ、現在の選挙についての問題点を考えてみたいと思います。

そもそもの、私の選挙の敗因・・・人を巻き込める環境ではなくなったこと。

こちら(←クリックしてください。)でも書きましたが、私は、春日井市議会議員選挙に立候補することを表面化させ、駅立ちなどを頻繁にやっていた時期(2022年12月12日)に、突如、母(当時80歳)のすい臓がんステージ4が見つかりました。要は、すいぞうが肥大化し、肝臓にもがんが転移しているらしい状況です。 知っての通り、すい臓がんは「難治がん」と呼ばれ、ステージ4になると、5年生存率は約1.8%となります。つまり、すい臓がんと分かった時から、命に向き合うことになるのです。

しかし、私は同居している人間として、そして、母を愛する人間として、母の看病を最優先事項といたしました。
すい臓がんのステージ4が、どれだけ進行が早く、場合によっては、予想以上に早く死に至らしめてしまうのか、友人・知人の同じすい臓がんの肉親の看病のケースからも知っていたので、「母に幸せな死を迎えさせる環境を作る」を最優先とし、家族として人間らしく最後まで生きていける環境を作ることを優先することにしました。

「母に幸せな死を迎えさせることを最優先とさせつつ選挙戦を戦う」

ぶっちゃけて言えば、選挙より家族の看病(しかも、幸せな死を迎えさせるミッション付き)!ということを優先させたのです。※ちなみに、母の治療方針は抗がん剤治療はせず、緩和医療ケアを選択することにしました。

そして、母に幸せな死を迎えさせるためには、私が選挙を諦めるという選択肢はありませんでした。もともと、立候補を公言していて、活動している・・・だからこそ、母の病気と看病を理由に選挙を諦めることは、母の幸せな死を諦めることでもあり、私と母の人生を否定することにもなると感じたのです。

ですから、選挙戦も「母の幸せな死の環境を作る」ことを優先して、政治活動を進め、選挙活動の準備を進めてきました。

ですが、すい臓がんの進行スピードは速く、予想外のことが続きます。すい臓がんの持つ死へのエネルギーと幸せづくりは、政治活動と選挙活動の縮小を否が応でも招きます。もともと、選挙を支える組織が無いから、当然です。では、結果的にどうなったのでしょうか?

2023 はらだよしひろ政治活動・選挙戦(春日井市議会議員選挙)

2023年に向けての、私の政治活動・選挙活動は、日々衰弱していく母の状態と向き合いながらのものでした。母の病気が発覚してから、選挙当日までの母の状態を示すことで、どれだけ衰弱していったのか分かるので、それを示しながら、私の政治活動・選挙戦がどうなったのか、示します。

母の状態の変化

2022年12月12日(すい臓がん宣告された日)
母の状態・・・自分で外出できた
春日井市民病院で検査。すい臓の肥大と肝臓へのがん転移を言われる。

この時はまだ歩行器を使っての歩行はできた状態。緩和医療ケアを選択。体の痛みを取っていくことを優先させる方針。

この直後も、自力でトイレに行けたりしていた。
2023年4月23日(春日井市議会議員選挙投開票日)
母の状態・・・自宅でのトイレに行くことさえ覚束ない
投票は、母を車いすに乗せて行った。

この時の状態は、自宅内のトイレに行くことさえ覚束ないもので、自力で立ち上がることも困難が伴うようになってきた。
生活は、ベットの上が主。かなりの作業が私の介助無しではできない状態。

ここまで見ても、母がどれだけ衰弱していったのか、よくわかります。
しかし、私は、衰弱するにしても、母が自宅でできる限りの時間を過ごせるような環境づくりを優先させました。そのための時間とパワーを割いていったために、否が応でも選挙戦を一人でやる!ということに事実上なっていったのです。

選挙戦・政治活動どうなったの?

  • 選挙事務所を作れなかった(←自宅の近くで、事務所が見つけることができなかった。)
    • 自宅から遠いところで事務所は見つかっていたのだが、そのために母への対応が遅くなる可能性があり、できなかった。 ギリギリまで事務所選びをするという選択肢もあったが、母の衰退ぶりを見ても、そこに時間を割くことができなかった。
    • 人が集まれる場所を作れなかった。(拠点が無いので、人が集まる場所が無く、困った)
    • 自宅を選挙事務所に設定していたが、母の静かな環境を守るために、クローズドにしていた。
  • 一人で選挙活動・政治活動を切り盛りしていた。
    • 応援してくれる人はいたが、選挙や政治活動をチームとして手伝っていただける環境を作れなかった。
      • 母の環境第一で、それに時間を取られたために、結局、一人で選挙活動・政治活動を行うことになった。
    • 人を巻き込めなかった
      • 人を巻き込みたくても、巻き込むための時間を作れなかった。
      • 選挙の核となる人を作れなかった
  • 選挙戦は、街宣車中心
    • 告示後の選挙期間中は、限られた条件の中で、「街宣車を一日回す」「全てのマイクは候補者本人が握る」で対応せざるを得ない戦略をとった。

今思えば、選挙の核となる人をつくっておけば、また、いろいろ違ったかもしれません。その方と相談しながら、他の方法を見いだせた可能性はあるからです。しかし、後ろ盾なく初めての選挙では、それさえも覚束ないのが現状でした。

結局のところ、私の選挙の敗因は、次に尽きると思います。

すい臓がんの母の環境づくりを優先させて、
選挙に関わってもらうための人の巻き込みがほとんどできなかった。

選挙は、選挙活動・政治活動も含めて、いかに多くの方に関わってもらうかが大事になってきます。それができない状態で、地方議会議員選挙は負けになってしまうのです。

ですが、私は一番人間らしい選挙の候補者の在り方を経験できたと自信持って言えます

選挙に関わる人がいる(=ある程度の支持基盤がある)のと、いないのとの差

支持基盤があるということは、一定の選挙を支える人たちがいるということにもなります。
実際、選挙を行うには、以下のことが必要になってきます。

選挙に必要なこと。(市議会議員選挙の場合)

  • 選挙事務所の設置
  • 選挙ポスターを掲示板に貼ること
  • 街宣車の運営
    • 7日間の運転手の確保
      ウグイス嬢の確保
  • 選挙はがき、2000枚を準備して郵送する
  • 4000枚のチラシの証紙貼り
  • 個人演説会・総決起大会の設定と実行。

これらをキチンと運営していくには、ある程度の運動員(=選挙を手伝ってくれる人)が必要なのです。そして、それを運営していく中心となる選挙対策本部長も必要となります。

組織票を持っている候補というのは、実は、ここら辺の運営・チーム作りに関わっていないケースが多いのです。
チームがあるから、それが選挙を支えていくのです。

選挙において、支持基盤があるというのは、こういう選挙を支えるチームがある程度出来ていることにも繋がっているのです。

選挙を支えるチームができると、どうなるのでしょうか。
基本的には、そこを中心に、一定の支持者への浸透がはじまります。

支持基盤がある人は、選挙を支えるチームができるのが早く、そこから、支持者への浸透のスピードが速いのです。

今の選挙の問題点は? そもそも、なぜ、投票率が低くなるの?

私自身、事実上、一人で選挙戦をやらざるを得なかったことから感じていたことは・・・・
「他の候補者が、何をやりたいのか、どういう春日井を作りたいのか、全く見えてこなかった!!!!」ということです。(たった一人を除いて)

要は、現職として、新人として、どういう春日井や社会を作りたいのか、外に向けて、それを主張する人は、ほとんどいなかったということです。

特に、春日井の今の問題点を生活実感レベルからズバリと指摘し、それを政策として、何を提供し、解決していくのか、提唱している人はいませんでした。
・・・・・というよりも、それを本当に伝えようとしていたのか疑問です。

私自身、毎日、駅立ちして、それを多くの人にとにかく伝えようとしてました。
その一部を動画としてもアップしているので紹介します。

工夫して、一人でも多くの方に思いを届け続ける! このことを実践していた人はいなかったように思います。

(候補予定者が)自ら、思いを届けていないのに、有権者が誰を選べば良いというのですか?

支援者・組織の内々だけを固めて、なんとなーく投票させて、当選する人たちによって支えられる議会ほど、白けるものは、ありません。だから、みんな選挙に行かなくなるのです。

自分の主体性をもって投票に行った!という人はどれだけいたのでしょうか。
具体的に「自分は、こういう春日井を作りたい! だから、こういう政策を掲げている○○さんに票を投じた!」と、確固たる意志をもって投票した人は、どれだけいたのでしょうか。

大事なことは、「あなたがどういう春日井を作りたいのか、明確な意思を持つこと!」だと思っています。それが国民主権であり、住民主権の基本中の基本なのだということです。

しかし、今回の当選者も含め、有権者の意識(=主体性)を育てようということを取り組んでいる人はほとんどいなかったように思います。

もっと言ってしまえば、【票さえもらってしまえば良い=有権者・住民の政治的主体性などどうでも良い】 という無意識がそこには働いているのだと思います。
だからこそ、低い投票率には言及せず、住民の政治的主体性に言及せず、当選しました!と言ってしまう議員が続出するのです。
当選しても、支持者や組織の内々では、盛り上がっているのだから、実は有権者は白けている現実に鈍感すぎるのかもしれません。

これでは、投票に行こう!!! とはなりません。本気で自分たちのことを考えてくれているんだ~と実感できるような行動を候補予定者がとっていない以上、魅力ある選挙には繋がらないと思います。

これが、私が思う、投票率が低くなる原因だと思っています。