膵臓癌で助かった人・・・について考える。 私が母の病気と向き合って。
これは、私が母のすい臓がんと向き合ってきて、感じていることを述べたものであり、実際に医学的知見とは全く異なるものであることは、予め申し上げておきます。
目次
2022年12月12日。母のすい臓がんステージⅣが見つかった。
すでに、こちらのページや、こちらのページでもお伝えしていますが、2022年12月12日に私の母(当時80歳)のすい臓がんが見つかりました。肝臓にも転移していることが分かり、ステージⅣであることもわかりました。ステージⅣがどういうことなのか、このサイト から見ていきましょう。
膵臓がんのステージと5年生存率
膵臓がんのステージは0期~IV期に分類されます。ここでは、各ステージの状態とステージ別の5年生存率について解説します。(生存率はあくまで統計であり、患者ひとりひとりの余命を決定づけるものではありません。)
ステージ0期~I期
膵臓がんのステージ0期は早期で、がんが膵管の上皮内にとどまっている状態です。ステージI期は、IA期とIB期の2つに分類されます。
IA期:がんの大きさが2cm以下で膵臓内に限局している、かつリンパ節への転移なし
IB期:がんの大きさが2cmを超えているが膵臓内に限局している、かつリンパ節への転移なし
5年生存率は49.5%~54.1%とされています。
ステージII期
膵臓がんのステージII期も、IIA期とIIB期の2つに分類されます。
IIA期:がんが膵臓外に進展しているが、腹腔動脈や上腸間膜動脈に及ばない、かつリンパ節への転移なし
IIB期:がんが膵臓外に進展しているが、腹腔動脈や上腸間膜動脈に及ばない、かつリンパ節への転移あり
5年生存率は21.9%~23.8%とされています。
ステージIII期
膵臓がんのステージIII期は、がんが腹腔動脈もしくは上腸間膜動脈へ及ぶ状態です。
5年生存率は6.0%~7.7%とされています。
ステージIV期
膵臓がんのステージIV期は、他臓器などへの転移がある状態です。
5年生存率は1.2%~1.6%とされています。これは、膵臓がんの早期発見が難しいことや、早期の段階で転移や浸潤を起こしやすいことが起因しているといえるでしょう。
※5年生存率は、他の病気等による死亡を除いた生存率である「相対生存率」で記載しています。
出典:膵臓がん 2013-2014年5年生存率|国立研究開発法人国立がん研究センター
ステージIV期と診断された場合、末期がんと思いがちですが、必ずしもそうとはいえません。厚生労働省によると、末期がんは「治癒を目指した治療に反応せず、進行性かつ治癒困難又は治癒不要と考えられる状態と医師が総合的に判断した場合」と定義しています。
ここから見ても、すい臓がんのステージⅣは、予後不良であり、かなりの確率で命が失われることになります。実際にこちらの資料を見ても、ステージⅣの1年後の生存率は、約20%であることが分かります。
要は、すい臓がん+他の転移が認められる場合は、すい臓がんステージⅣであり、余命1年も無い状況ということなのです。
医師からは、抗がん治療はつらいよ!!と言われた。
春日井市民病院の先生からは、①抗がん剤治療 ②緩和医療ケアのいずれかを勧められましたが・・・・率直なデメリットも言われました。どんな説明を受けたか、要点をお伝えします。
- 抗がん治療・・・・・かなりの苦痛が伴う。週に1回は病院に来なければいけないうえに、かなりの体力も要する。80歳の年齢で、それに抗する体力があるかどうかもかなりの不安要素
- 緩和医療ケア・・・痛みへの対処はしていくが、抗がん治療は行わない。「痛み」を取ることによって、人間らしい生活を送ることができる。
※ネットで調べると、「緩和ケア」というみたいだが、この先生はこの言葉を使っていた。
私たち家族としての選択は「緩和医療ケア」
私をはじめ、家族(姉 2人※父は存命だが、認知症で老健に入所中)は、母に人間らしく最後を全うしてもらいたいという想いをもって、「緩和医療ケア」を選択しました。
看病して分かったのですが、実際に癌は進めば進むほど、痛みが増していきます。それに対して、どういう痛み止めの薬を使っていくのか!という対処をしていくことになります。
また、体の衰弱度合いとともに、家でどういう介護体制ができるか・・・・・ そうです。私たちは家でできるだけ母と一緒の時間をつくっていこう!!としたのです。
痛みを取るだけではなく、できるだけ、母と家族の触れ合う時間を多く作っていく!! そういう決断でした。
どうして、「緩和医療ケア」を選択し、できるだけ家で母を看ようとしたのか。
一人寂しい思いをさせて、母を逝かせたくない!という私の想いと、母の「寂しい思いせずに逝きたい!!」という想いが、そうさせました。
もちろん、どうしても家での看病に限界が来ることもあるでしょう。
でも、住み慣れてきた家で生きていき、家族に見守られながら、生きていくことは、それが死への道程だとしても、最後に残された幸せづくりへの挑戦だとも言えるのです。
一緒に、「最後まで、家族と一緒にいれて、幸せだった~」と実感できる余生を創っていく!! それが本当の幸せなのだと思います。
幸い、緩和医療ケアも発展し、痛みをとる薬の処方の仕方も、発達して来ています。
「苦しまずに余生を過ごしてほしい」+「幸せ実感しながら余生を過ごしてほしい」
それが私たちの決断でした。各々の地域でも介護体制や医療体制は発達して来ています。それも活かしながら、家で、家族と触れ合いながら、最後まで人間らしく生きていく環境を作る!! 私は、そのために、付き添う覚悟を決めました。
ここでひとつ、実際にあった話をお伝えします。
ある日、私は「最後まで、母ちゃんと一緒にいるからね。そう覚悟を決めたから」と看病しながら、母に言いました。
母も、日々衰退していく体に大きな不安を抱えていたのでしょう。「ありがとう、嬉しい!!」と大きな涙を流しました。
すい臓がん治療に一番大事なのは、「幸せづくり」「安心づくり」だと思う。
私自身、母のすい臓がんと向き合って思うのは、家族として「幸せづくり」「安心づくり」と向き合い、実践し、挑戦することが一番大事なのだとも思います。
もし、すい臓がんで助かったとしても、そこに伴う苦痛が、その人らしさを失われたり、幸せ感を失わせたりしたら、本末転倒な話だと思うのです。ましてや、生存率が極めて低いすい臓がんであれば、なおさらのことです。
著しく低い可能性の「助かる」にかけて、苦しみばかり与えるのは、生きながらにして地獄を与えることだと私は思います。
それよりも、残された人生の「幸せづくり」「安心づくり」に挑戦したほうが、どれだけ可能性が開け、未来が明るいか!ということです。
一筋縄ではいきませんが、その挑戦の過程で、新たな智慧が産まれます。そこには、新たな触れ合いが生まれます。
だからこそ、私はすい臓がんをはじめ、難病 不治の病 余命宣告などに対して、一番大事な心がけは、「幸せづくり」「安心づくり」を家族としてどう向き合っていくか!! なのだと思っています。