憲法訴訟でもあるPFAS春日井訴訟では、知る権利や生存権の侵害といった憲法違反を、どのように訴訟で主張しているの?
私、はらだよしひろが、個人的に思ったことを綴った日記です。社会問題・政治問題にも首を突っ込みますが、日常で思ったことも、書いていきたいと思います。
目次
今、私が起こしているPFASの住民訴訟は、憲法訴訟でもある。
今、私はPFASの件で、住民訴訟を起こしています。
この住民訴訟は、春日井市がPFASの検査で国の暫定基準値を超えていた事実を公表せず、かつ、水道法令上、違法な水質検査委託契約を締結し、その水質検査結果のみを公表したことに対して、提起したものです。
そして、この訴訟は、憲法訴訟でもあります。
具体的には、
- 憲法21条(知る権利)の侵害・・・・・・・国の暫定基準値を超えていた事実を公表しなかったこと=令和5年度春日井市水質検査計画違反に対して
- 憲法25条(生存権)の侵害・・・・・・・・国の暫定基準値を超えていた事実を公表せず、かつ、水道法令上、違法な水質検査委託契約を締結し、その水質検査結果のみを公表したことに対して
- 憲法99条(公務員の憲法擁護義務)違反・・国の暫定基準値を超えていた事実を公表せず、かつ、水道法令上、違法な水質検査委託契約を締結し、その水質検査結果のみを公表したことに対して、春日井市長が市議会で明白な虚偽の答弁をしたことに対して。
です。
詳細は、訴状と原告第1準備書面そして、原告第2準備書面を読むと分かると思います。
このように、この訴訟は、憲法違反も提起した、いわゆる「憲法訴訟」であることが分かります。
どうして、憲法訴訟を提起したの?
これは、公文書開示請求を通して、国の暫定基準値を超えているのに公表していない事実を知り、その背景に、違法な水質検査委託契約があることを知ったためです。
水はいわば、生命の源です。なのに、これが国の暫定基準値越え=不健康度が高い可能性があるにもかからず、公表せず、違法な水質検査契約を締結して、その結果だけを公表し、かつ、市長が議会で虚偽の答弁までしてるというのは、どう考えても、憲法違反であると思えたからです。
ならば、本人訴訟(要は、弁護士無しの訴訟)だけど、思い切って憲法違反の主張を展開してしまえ!!! と思いきったのです。
この訴訟では、どのように、憲法違反の主張をしているの?
基本的には、今回の訴訟は、①違法な水質検査契約の締結+②水質検査結果を公表しないことは違法である、の組み合わせを主張立証した上で、判例や憲法訴訟の大家である芦部信喜先生の説などをお借りして、1⃣【大前提の明確化】憲法違反の要件を明確にし、2⃣【小前提の明確化】本訴訟での違法の事実がどのように憲法違反になるのか当てはめ、3⃣【結論】憲法違反である結論を導く、という段取りで導いています。いわば、法的3段論法を憲法訴訟に活用したのです。おそらく、憲法訴訟で法的3段論法を活用し、大前提としての憲法違反の要件の明確化を訴訟で主張したのは、私のオリジナルの手法ではないかと思います。
では、この訴訟で、どのように憲法違反の要件を明確化したのでしょうか?それぞれ、・知る権利 ・生存権 ・憲法擁護義務から見てみましょう。
本訴訟における、「知る権利(憲法21条)」の憲法違反の要件と私の主張。
知る権利は、憲法21条の表現の自由から派生した権利です。この権利が具体的に発生するには、法律・法令の立法による具現化が必要です。例えば情報公開法なぞは、まさしく国民や市民の知る権利の具現化です。
ならば、本訴訟における「知る権利」はどのように要件を主張し、事実を主張したのか、見てみましょう。
「知る権利」が具体的に発生する要件
- 市民や国民の知る情報の内容が法律・法令で明確に定められていること。
本訴訟で私が主張した、
■「知る権利」が具体的に発生している事実
- 水質検査の結果を公表することが、令和5年度春日井市水質検査計画に定められていること。
- 令和5年度春日井市水質検査計画は法令でもあること・・・水道法施行規則によって定められていることなどを根拠に。
本訴訟で私が主張した、
■「知る権利が侵害されている」状態の要件
- 法律・法令で「知る権利」が具現化されていること。
- 法律・法令で具現化された「知る権利」に非公開などの制限を設ける場合は、同じ法律・法令でその要件を明確に定めること。
- 上記②のような、非公開の要件が明確に規定されていないのに、非公開状態にしていることは、「知る権利」の侵害をしていることになる。
本訴訟で私が主張した、
■「知る権利が侵害されている」状態の事実
- Ⅰ令和5年度春日井市水質検査計画には「水質検査の結果の公表している」旨が記されている。
Ⅱ令和5年度春日井市水質検査計画は、法令であり、行政計画である。
Ⅲよって、令和5年度春日井市水質検査計画は、憲法21条の「知る権利」の具現化である。 - Ⅰ令和5年度春日井市水質検査計画には、水質検査の結果を公表しない場合の規定が無い。
Ⅱよって、水質検査の結果を公表していないことは、「知る権利」の侵害である。 - Ⅰ令和5年度8月1日採水の町屋第3水源⇒60mg/ℓ 町屋第6水源⇒56mg/ℓ 町屋送水場⇒18ng/ℓというPFASの水質検査結果を公表していない事実がある。※ちなみに、この事実は被告=春日井市も答弁書で認めた。黒塗り字は、国の暫定基準値を超えているところ。
Ⅱよって、本件の水質検査の結果を公表していない事実は、憲法21条の「知る権利」を侵害し続けている状態になる。
本訴訟における、「生存権(憲法25条)」の憲法違反の要件と私の主張
この訴訟においては、水質検査の結果を公表していない、特に国の暫定基準値越えの結果を公表していない事実を、憲法25条の生存権の侵害として主張しています。具体的には、堀木訴訟 - Wikipedia の判例を引用し、生存権侵害の要件を明確にしています。
では、本訴訟で引用した、堀木訴訟 - Wikipedia の判例を見てみましょう。
引用した堀木訴訟の判決文(判例)
「憲法25条の規定は、国権の作用に対し、一定の目的を設定しその実現のための積極的な発動を期待するという性質のものである。しかも、右規定に言う『健康的で文化的な最低限度の生活』なるものは、極めて抽象的・相対的な概念であって、その具体的内容は、その時々の文化の発達程度、経済的・社会的条件、一般的な国民生活の状況等との相関関係において判断決定されるべきものであるとともに、右規定を現実の立法として具体化するに当たっては、国の財政事情を無視することができず、また、多方面にわたる複雑多様な、しかも高度の専門技術的な考察とそれに基づいた政策的判断を必要とするものである。したがって、憲法25条の規定の趣旨にこたえて具体的にどのような立法措置を講ずるかの選択決定は、立法府の広い裁量にゆだねられており、それが著しく合理性を欠き明らかに裁量の逸脱・濫用と見ざるを得ないような場合を除き、裁判所が審査判断するのに適しない事柄であると言わざるを得ない」
最大判昭和57・7・7民集36巻7号1235頁 いわゆる堀木訴訟より
実際の判決文は、こちらから見ることができます⇒こちら
尚、本訴訟の準備書面で直接引用していることは・・・・⇒こちらから
この判例は、今では生存権に関する法理というべきものです。
つまり、この判例によると、生存権の具体的な発生は、立法府の広い裁量に委ねられており、それが著しく合理性を欠き、明らかに裁量の逸脱・濫用と見ざるを得ないような場合には、裁判所が審査判断するのに適している事柄である、と言っているのです。
ということは、生存権を具現化した法律・法令が存在し、その実施において、著しく合理性を欠き、明らかに裁量の逸脱・濫用と見ざるを得ないような行為の事実がある場合は、生存権の侵害と言っても良いのだと考え、以下のように生存権の侵害の要件を構成し、事実を主張したのです。
生存権が具体的に発生する要件
- 法律や法令の立法により、生存権が具現化されていること。
本訴訟で私が主張した、
■「生存権」が具体的に発生している事実
- 令和5年度春日井市水質検査計画は、生存権の具現化である。
- 令和5年度春日井市水質検査計画は、水道法施行規則第15条第6項によって定められているので、法令である。
本訴訟で私が主張した、
■「生存権が侵害されている」状態の要件
- 生存権が法律・法令により立法されることで、具現化していること。
- 生存権が具現化された法律・法令に明白に違反する行為の事実がある。
- 上記②の事実は、明らかな裁量権の逸脱なので、生存権を侵害していることになる。
本訴訟で私が主張した、
■「生存権が侵害されている」状態の事実
- PFASの水質検査において、令和5年度春日井市水質検査計画は、生存権を具現化している。
- Ⅰ令和5年度春日井市水質検査計画に違反した、PFASの水質検査委託契約が締結され、
Ⅱ令和5年度春日井市水質検査計画に違反して、PFASの水質検査の結果が公表されていない事実がある。 - よって、明らかな裁量権の逸脱があるので、生存権を侵害している。
本訴訟における「憲法擁護義務(憲法99条)」の憲法違反の要件と、私の主張
率直に言えば、本訴訟で言えば、私が一番初めに主張し始めた憲法違反が、憲法99条の憲法擁護義務の違反でした。
・・・というのは、既に住民監査請求時においては、市長が国の暫定基準値を超えていて公表していない事実を知りながら、市議会で事実と異なる答弁をしたことが分かっていて、しかも、その背景には違法な水質検査委託契約がある・・・・私にはこれが公務員による憲法擁護義務違反に思えたからです。
ですから、公務員による憲法擁護義務を始めに主張し、その後、その主張を土台づけるものとして、「知る権利」の侵害と「生存権」の侵害を主張し始めたという流れになるのですが、それを憲法違反の要件と私の主張にすると、以下のようになります。
憲法擁護義務違反となる要件
- 憲法が定めた基本的人権の侵害や諸規定に違反している。
本訴訟で私が主張した、
■「憲法擁護義務違反」が具体的に発生している事実
- 令和5年度春日井市水質検査計画に反して、水質検査の結果を公表していない事実=知る権利の侵害
- 令和5年度春日井市水質検査計画に違反した水質検査委託契約を締結・履行し、国の暫定基準値を超えた水質検査の結果を公表していない事実=生存権の侵害
- 春日井市長が水質検査の結果を公表していない事実を知っているにも関わらず、市議会で事実と異なる虚偽の答弁をしたこと。
本人訴訟でも、憲法違反を主張する意義。
「許せないことは、徹底的に緻密で大胆に、かつ、創造性をもって、ひとりの信念から社会を変えていく!」
私は、この訴訟において、勝つことよりも「国の暫定基準値を超えても春日井市が公表しなかった事実」が憲法違反であることを裁判所で審理してもらうことの方がより重要だと考えています。
私たちの健康に直接直結する情報が、一部の公務員の判断によって隠されることを認めることは、絶対に許されないのです。しかも、法律・法令によって情報提供が明示されている情報が隠されている・・・・この事実は単なる法令違反ではなく、憲法違反になる重大な事柄として、表面化させなければいけないという想いです。
それに、情報公開請求を駆使し、そこから得た公文書を証拠として、社会を揺り動かすほどの「一人から始める民主主義」を司法の場で展開する可能性を拡げていきたいという信念をもって、この訴訟に望んでいます。
率直な話を言えば、最高裁の大法廷まで行ければと思っています。
許せないことは、徹底的に緻密で大胆に、かつ、創造性をもって、ひとりの信念から社会を変えていく!
そういう想いをもって、この訴訟を通して実践していきたいと思います。
はらだよしひろと、繋がりたい方、ご連絡ください。
私、原田芳裕は、様々な方と繋がりたいと思っています。もし、私と繋がりたいという方は、是非、下のメールフォームから、ご連絡ください。ご相談事でも構いません。お待ちしております。