皇室典範改正案の問題点――皇位の安定的継承と、皇族・皇族となる人の人権保障を両立させるために
私、はらだよしひろが、個人的に思ったことを綴った日記です。社会問題・政治問題にも首を突っ込みますが、日常で思ったことも、書いていきたいと思います。
目次
- 1 1 問題の所在――「皇族数確保」で本当に皇室は安定するのか
- 1.1 2 現在案の最大の問題――「皇族数確保」と「皇位継承安定」がずれている
- 1.2 3 人権保障の問題――皇族を制度維持のための人的資源にしてはならない
- 1.3 4 マスコミはこの皇室典範改正案をどう報じているか
- 1.4 5 現行憲法の範囲内で、何が可能か
- 1.5 6 私たちの皇室典範改正案の基本思想
- 1.6 皇室典範改正後全文案・はらだよしひろ私案
- 1.6.1 第一章 総則及び皇位継承
- 1.6.2 第二章 皇族
- 1.6.2.1 第五条 皇族の範囲
- 1.6.2.2 第六条 親王、内親王、王及び女王
- 1.6.2.3 第七条 皇嗣、皇太子及び皇太女
- 1.6.2.4 第八条 皇族の子
- 1.6.2.5 第九条 養子の原則禁止
- 1.6.2.6 第九条の二 特例皇族養子
- 1.6.2.7 第十条 立后、立皇配及び皇族の婚姻
- 1.6.2.8 第十一条 皇族配偶者
- 1.6.2.9 第十一条の二 皇族配偶者の基本的人権
- 1.6.2.10 第十一条の三 皇族配偶者及びその配偶者たる皇族の財産関係
- 1.6.2.11 第十二条 婚姻による皇族身分の保持
- 1.6.2.12 第十三条 皇族身分の離脱
- 1.6.2.13 第十四条 皇族配偶者の身分離脱
- 1.6.2.14 第十五条 人格的尊厳の尊重
- 1.6.2.15 第十五条の二 自由意思の確認
- 1.6.2.16 第十五条の三 健康及び公的活動の負担
- 1.6.2.17 第十五条の四 私生活及び家族生活の保護
- 1.6.2.18 第十五条の五 天皇及び皇族の政治利用の禁止
- 1.6.2.19 第十五条の六 論評及び批判の自由
- 1.6.2.20 第十五条の七 皇室身分・人権保障委員会
- 1.6.2.21 第十五条の八 相談事項の解決及び是正措置
- 1.6.2.22 第十五条の九 不利益取扱いの禁止
- 1.6.2.23 第十五条の十 国会への報告及び検証
- 1.6.3 第三章 摂政
- 1.6.4 第四章 成年、敬称、即位の礼、大喪の礼、皇統譜及び陵墓
- 1.6.5 第五章 皇室会議
- 1.6.6 附則
- 1.7 7 この改正案の意味
- 1.8 8 現在案との決定的な違い
- 1.9 9 皇室を安定させるとは、制度を明快にすることである
- 1.10 10 結論――皇室典範改正は、皇位継承と人権保障を一体で設計すべきである
- 1.11 はらだよしひろと、繋がりたい方、ご連絡ください。
1 問題の所在――「皇族数確保」で本当に皇室は安定するのか

皇室典範の改正をめぐる議論が、いよいよ現実の立法課題として動き出している。
現在、国会で検討されている方向は、大きく二つである。
第一に、女性皇族が結婚後も皇族の身分を保持できるようにすること。
第二に、旧宮家の男系男子を皇族の養子として迎える制度を作ること。
衆参正副議長がまとめた案では、今上陛下から秋篠宮皇嗣殿下、そして悠仁親王殿下へという皇位継承の流れをゆるがせにしないことを前提としたうえで、女性皇族の婚姻後の身分保持と、旧宮家男系男子の養子縁組を法制化する方向が示されている。報道によれば、女性皇族の配偶者や子を皇族とするかどうかは明記されておらず、旧宮家男系男子の養子案については慎重な制度設計と一定年数ごとの見直しが求められている。
しかし、私は、この方向性には大きな問題があると考える。
なぜなら、現在の案は、表向きは「皇族数確保」を目的としているが、皇室制度にとって最も重要なはずの「皇位の安定的継承」を正面から解決していないからである。
現在の皇室典範は、皇位継承資格を「皇統に属する男系の男子」に限定している。宮内庁も、現行制度について、皇位は皇統に属する男系男子たる皇族が継承し、その順位は皇長子、皇長孫、その他の皇長子の子孫、皇次子とその子孫、その他の皇子孫、皇兄弟とその子孫、皇伯叔父とその子孫という順序であると説明している。
つまり、現行制度の根本問題は、単に皇族の人数が少ないことではない。
皇位を継ぐことができる人が、極端に限定されていることである。
この点を変えずに、女性皇族を結婚後も皇室に残し、旧宮家男系男子を養子に迎えたとしても、それだけでは皇位継承の安定には直結しない。女性皇族本人が皇室に残っても、その子に皇位継承資格を認めないなら、それは皇位継承者を増やす制度ではない。旧宮家男系男子を皇族に迎えても、養子本人に皇位継承資格を与えないなら、それも皇位継承者を増やす制度ではない。
では、何のための改正なのか。
この問いに、現在案は明確に答えていない。
2 現在案の最大の問題――「皇族数確保」と「皇位継承安定」がずれている

現在の取りまとめは、「皇族数確保」を喫緊の課題としている。実際、現在の皇室は、内廷にある方々が5方、宮家の皇族が11方であり、結婚により皇族の身分を離れた内親王・女王は8方とされている。
皇族数が減っていること自体は、事実である。
女性皇族が結婚により皇籍を離れる現行制度のままであれば、若い世代の皇族はさらに減少していく。公的活動を担う皇族が減るという問題もある。皇室会議、摂政、国事行為の臨時代行など、皇族が一定数いることを前提とした制度もある。
だから、皇族数確保の問題を無視してよいわけではない。
しかし、皇室典範改正の第一目的は、あくまで皇位の安定的継承でなければならない。
皇族数の確保は、そのための手段である。
手段が目的化してはならない。
現在案は、この点で構造的に不安定である。女性皇族を結婚後も皇室に残す。しかし、配偶者や子の扱いは先送りする。旧宮家男系男子を養子に迎える。しかし、本人には皇位継承資格を与えない方向で議論されている。将来その子に皇位継承資格を認めるのかどうかも、制度設計上きわめて曖昧になり得る。
これでは、皇位継承の安定ではなく、将来の混乱の種を制度の中に埋め込むことになる。
しかも、現在案は「今上陛下から秋篠宮皇嗣殿下、悠仁親王殿下へ」という流れを動かさないことを前提にしている。衆議院掲載資料にある中道改革連合の取りまとめでも、この流れをゆるがせにしてはならないと確認したうえで、皇族数確保策として女性皇族の婚姻後身分保持と旧宮家男系男子の養子案を論じている。
もちろん、現在の皇位継承順位を急激に変えることには、政治的・社会的な影響がある。だから、経過措置を置くこと自体は十分に考えられる。
しかし、現在の順位を当面維持することと、将来世代の安定的継承を正面から制度設計しないことは、まったく別の問題である。
「今は議論しない」という姿勢を続ければ、同じ問題が次世代にそのまま先送りされる。
3 人権保障の問題――皇族を制度維持のための人的資源にしてはならない

現在案のもう一つの大きな問題は、人権保障の観点が弱いことである。
皇族の方々は、一般国民と全く同じ意味で権利行使できる立場ではない。皇室制度の性質上、一定の制約があることは否定できない。
しかし、だからこそ、法律によって人格的尊厳、自由意思、婚姻、家族生活、健康、私生活を明確に保護する必要がある。
制度上の制約がある人ほど、その制約の限界を明確にしなければならない。
ところが、現在案では、女性皇族の婚姻後身分保持について、「本人の意向を尊重する」という配慮は示されているが、配偶者や子の地位は先送りされている。衆議院掲載資料でも、女性皇族が婚姻後も皇族身分を保持する場合、その配偶者及び子の皇族の身分については、当事者の意向など個別事情を勘案しながら適時適切に対応するとされている。
これは、法律としては不安定である。
女性皇族本人は皇族として残る。
しかし、夫は皇族になるのか、一般国民のままなのか。
子は皇族になるのか、一般国民のままなのか。
その子に皇位継承資格はあるのか、ないのか。
家族生活はどのように保障されるのか。
警備、住居、教育、費用、私生活、職業選択、政治活動、表現活動はどうなるのか。
これらは、後で「適時適切に対応」すればよい問題ではない。
家族の地位は、法律で明確にしなければならない。
母だけが皇族で、配偶者と子は一般国民という制度にするなら、その家族は、皇族の家族でありながら一般国民でもあるという、極めて不安定な立場に置かれる。逆に、配偶者や子も皇族にするなら、その人たちの自由意思や人生設計への影響は重大である。
どちらにするにしても、明文規定が必要である。
同じことは、旧宮家男系男子の養子案にも当てはまる。
旧宮家の男系男子は、現在は一般国民である。その人を、皇族数確保のために皇族に迎えるという制度は、本人と家族に重大な影響を与える。衆議院掲載資料でも、旧11宮家の皇族男子の子孫である男系男子を対象に養子縁組を制度化することが考えられるとしつつ、養親・養子双方の自由意思に基づくことを確認し、要件・手続について慎重な制度設計を行わなければならないとしている。
しかし、自由意思を確認するだけでは足りない。
皇族になるとは、単なる名誉職になることではない。生活、仕事、家族、住居、教育、警備、プライバシー、発言、政治活動、将来の子の地位に大きな影響がある。本人が望むとしても、その配偶者や子にどのような影響が及ぶのかを明確にしなければならない。
また、旧宮家男系男子を皇族に迎えても、本人に皇位継承資格がないなら、皇位継承安定策としての意味は薄い。逆に、養子後に生まれた子に皇位継承資格を認めるなら、旧宮家の血統を将来の皇位継承ラインに接続する制度になる。それなら、それを正面から説明すべきである。
曖昧なまま制度化してはならない。
4 マスコミはこの皇室典範改正案をどう報じているか

マスコミの報道・社説を見ると、この問題に対する評価はかなり割れている。
社説読み比べサイトの一覧によれば、2026年6月には、日本経済新聞が「安定した皇位継承へ国民的議論深めよ」、読売新聞が「皇位継承の安定 国民の総意へ議論仕切り直せ」、朝日新聞が「皇族数の確保 養子案には疑問が残る」、産経新聞が「立法府の総意案 日本の皇統を護る内容だ 男系継承の伝統を確認できた」、東京新聞・中日新聞が「皇位継承の安定 『見切り発車』許されぬ」という社説を掲げている。
この見出しの並びだけでも、論点の対立は明らかである。
産経新聞は、男系継承の伝統を守る観点から、旧宮家男系男子の養子案を積極的に評価する方向である。
一方で、朝日新聞、毎日新聞、東京新聞、中日新聞、日経新聞などは、程度の差はあれ、養子案への疑問、国民的議論の不足、女性・女系天皇の議論を避けていることへの懸念を示している。
読売新聞も、2026年5月の社説見出しでは「皇位継承の安定 男系に固執し実現できるのか」としており、少なくとも男系維持だけで安定継承が実現できるのかという問題意識を示している。
毎日新聞は、2026年6月11日の社説で「安定的な皇位継承 女性・女系排さず議論を」と掲げている。
また、FNNは、正副議長案について、女性皇族の婚姻後身分保持と旧皇族男系男子の養子案の二つを「いずれも了」として政府に法制化を求める内容であり、女性皇族の配偶者や子を皇族とするかどうかは明記していないと報じている。
報道の中心は、今のところ「皇族数確保」「男系維持」「女性・女系天皇」「養子案の是非」「国民理解」である。
しかし、私が特に問題だと考えるのは、人権保障の視点がまだ十分に前面に出ていないことである。
女性皇族は、皇族数確保のために残るのではない。
旧宮家出身者は、制度維持のために皇族に入るのではない。
配偶者や子は、皇室制度の都合で身分を左右される存在ではない。
皇室典範改正をするなら、皇位の安定的継承と同時に、皇族、皇族となる人、その配偶者、子の人格的尊厳を明確に保障しなければならない。
5 現行憲法の範囲内で、何が可能か

ここで重要なのは、現行憲法の範囲内でどこまで改正できるのか、という点である。
日本国憲法第1条は、天皇の地位を「主権の存する日本国民の総意に基く」としている。第2条は、皇位は世襲のものであって、国会の議決した皇室典範の定めるところにより継承するとしている。
つまり、憲法は「世襲」を定めているが、男系男子に限るとは書いていない。
2005年の皇室典範に関する有識者会議報告書も(←クリックすると報告書が見れます)、憲法上の世襲原則は天皇の血統に属する者が皇位を継承することを定めるものであり、男子や男系であることまで求めるものではなく、女子や女系の皇族が皇位を継承することは憲法上可能であると整理している。
同報告書は、皇位継承資格を女子や女系皇族に拡大すれば、男女を問わず天皇・皇族の子孫が継承資格を有するため、男系男子限定に比べて格段に安定的な制度となると述べている。
また、同報告書は、旧皇族について、既に長く一般国民として過ごしており、今上天皇との共通祖先は室町時代にさかのぼる遠い血筋であるため、国民が皇族として受け入れることができるか懸念されると指摘していた。さらに、当事者の意思に依存するため不安定さを内包し、事実上の強制や第三者の影響が生じかねないとも述べている。
この報告書の指摘は、現在でも極めて重要である。
皇位の安定的継承を第一に考えるなら、最も自然で明快なのは、現に皇室に生まれ育つ皇族を、男女を問わず皇位継承資格者とすることである。
そのうえで、継承順位は直系長子優先にする。
親から子へ。
同じ親の子の間では出生順。
性別で順位を変えない。
これが最も分かりやすい。
2005年報告書も、皇位継承順位について、直系継承が親から子へ、世代から世代へと伝わる形であり、国民の側から見ても最も自然であると述べ、天皇の身近で生まれ成長した皇族であることが望ましいとも指摘している。
現行憲法の範囲内で、皇位の安定的継承と人権保障を両立させるなら、方向は明確である。
旧宮家男系男子を外から入れて補うのではなく、現に皇室にいる皇族、そしてその子孫を、性別を問わず正面から皇位継承資格者として位置づけることである。
6 私たちの皇室典範改正案の基本思想
以下に示す改正案は、現行憲法の範囲内で作る皇室典範一部改正案である。
基本思想は、次の五点である。
第一に、人権を軸とした、皇位の安定的継承を第一目的とする。
第二に、皇位継承資格を、男女を問わず皇統に属する皇族に広げる。
第三に、継承順位は、直系長子優先とする。
第四に、女性皇族が婚姻によって当然に皇族身分を離れる制度を廃止する。
第五に、皇族、皇族となる者、配偶者、子、養子候補者の人格的尊厳、自由意思、健康、私生活、家族生活を明文化して保障する。
加えて、天皇及び皇族の政治利用を禁止し、皇室制度や皇位継承についての論評・批判の自由を明文化する。
皇室を守るとは、批判を封じることではない。
むしろ、自由な議論に耐えられる制度にすることである。
現行憲法の下で、天皇の地位は国民の総意に基づく。であるならば、皇室制度に関する自由な議論、批判、論評は、制度の安定にとって不可欠である。
皇室典範改正後全文案・はらだよしひろ私案

第一章 総則及び皇位継承
第一条 目的及び基本原則
この法律は、日本国憲法第一条及び第二条の趣旨に基づき、主権の存する国民の信頼に基づく象徴天皇制の下に、皇位の安定的継承を確保するとともに、皇族、皇族となる者、その配偶者及び子の人格的尊厳、自由意思、健康、私生活並びに家族生活の安定を尊重することを目的とする。
2 皇位の継承及び皇族の身分に関する制度は、基本的人権を基礎とし、皇位の安定的継承を第一の目的として定められなければならない。
第二条 皇位継承資格
皇位は、皇統に属する皇族が、性別を問わず、これを継承する。
2 この法律において「皇統に属する者」とは、男系又は女系を問わず、歴代の天皇の血統に属する者をいう。
3 皇位継承資格は、皇統に属し、かつ皇族の身分を有する者に限り認められる。
4 皇統に属しない皇族配偶者は、皇位継承資格を有しない。
5 養子縁組は、皇位継承資格を生じさせない。ただし、その者が養子縁組以外の事由により皇位継承資格を有する場合は、この限りでない。
第三条 皇位継承の順位
皇位継承の順位は、次に掲げる順序による。
一 天皇の長子及びその子孫
二 天皇の次子及びその子孫
三 その他の天皇の子及びその子孫
四 天皇の兄弟姉妹及びその子孫
五 天皇の伯叔父母及びその子孫
六 前各号に掲げる者がないときは、それ以上で最近親の系統に属する皇族
2 前項各号に掲げる者の相互の順位は、同一の親を有する者の間では、出生の先後による。
3 前順位者の子孫は、その者に代わり、その系統の順位に従う。
4 性別によって、皇位継承資格又は皇位継承順位を異にしてはならない。
第四条 即位
天皇が崩じたときは、皇嗣が直ちに即位する。
第二章 皇族
第五条 皇族の範囲
皇族は、皇后、皇配、太皇太后、太皇太配、皇太后、皇太配、親王、内親王、王、女王及び皇族配偶者とする。
2 天皇の配偶者のうち、女子を皇后、男子を皇配という。
3 前天皇の配偶者であった者のうち、女子を皇太后、男子を皇太配という。
4 前々天皇以前の配偶者であった者のうち、女子を太皇太后、男子を太皇太配という。
第六条 親王、内親王、王及び女王
天皇の子及び天皇の孫である皇族は、男子を親王、女子を内親王とする。
2 三世以下の皇族は、男子を王、女子を女王とする。
3 前二項の規定は、男系又は女系の別によって異なる取扱いをしてはならない。
第七条 皇嗣、皇太子及び皇太女
皇位継承順位第一位の皇族を皇嗣という。
2 皇嗣たる天皇の子を、皇太子という。
3 皇嗣たる天皇の孫を、皇太孫という。
第八条 皇族の子
皇統に属する皇族から出生した子は、男女を問わず、皇族とする。
2 前項の子及びその子孫は、第二条及び第三条の定めるところにより、皇位継承資格を有する。
3 養子縁組による親子関係は、皇位継承資格を生じさせない。
第九条 養子の原則禁止
天皇及び皇族は、皇位継承資格を取得させる目的で養子をすることができない。
2 養子縁組は、本人又はその子孫に皇位継承資格を生じさせる効果を有しない。
3 ただし、第九条の二に定める特例皇族養子については、この限りでない。
第九条の二 特例皇族養子
皇室活動の補助及び皇族数の確保を目的として、別に法律で定める皇統に属する成年者を、皇族の養子とすることができる。
2 前項の養子縁組は、養親となる皇族及び養子となる者の自由意思に基づき、皇室会議の議決及び国会の承認を経なければ、その効力を生じない。
3 前項の国会の承認は、両議院の議決によるものとする。
4 養子となる者は、養子縁組の申立て前に、制度上の効果、生活上の影響、権利義務、公的活動、住居、費用、警備、配偶者及び子への影響、並びに皇族身分離脱の可否について、十分な説明を受けなければならない。
5 養子となる者は、独立した法律専門家、心理・福祉の専門家その他必要な専門家から助言を受ける機会を保障されなければならない。
6 養子となる者に配偶者又は子があるときは、当該配偶者及び子の生活、身分、氏名、住居、職業、教育、私生活及び家族生活に与える影響について、あらかじめ説明し、その意見を聴かなければならない。
7 第一項の養子縁組の申立てから皇室会議の議決までの間には、一年以上の熟慮期間を置かなければならない。
8 政府は、皇室会議の議決があったときは、養子となる者及びその家族の人格的尊厳、私生活及び個人情報に十分配慮した上で、当該養子縁組について国会の承認を求めなければならない。
9 国会は、前項の承認にあたり、当該養子縁組が皇位の安定的継承、皇族数の確保、本人及び家族の自由意思、並びに人格的尊厳の保障に適合するかどうかを審査しなければならない。
10 養子となる者は、皇室会議の議決前又は国会の承認前であれば、いつでも申立てを撤回することができる。
11 第一項により皇族となった者及びその子孫は、その養子縁組に基づいて皇位継承資格を有することはない。ただし、その者又はその子孫が、養子縁組以外の事由により皇位継承資格を有する場合は、この限りでない。
12 第一項により皇族となった者は、養子縁組の日から五年以内に、本人の意思により、皇室会議の議決及び国会の承認を経て、皇族の身分を離れることができる。
13 前項の国会の承認は、両議院の議決によるものとする。
14 第一項の養子制度については、施行後十年ごとに、国会において、その必要性、国民の理解、本人及び家族の人格的尊厳への影響、並びに皇位の安定的継承に対する効果を検証しなければならない。
第十条 立后、立皇配及び皇族の婚姻
立后、立皇配並びに皇族の婚姻は、皇室会議の議を経ることを要する。
2 前項の議にあたっては、婚姻をする本人及びその配偶者となる者の自由意思を尊重しなければならない。
3 皇室会議は、婚姻によって皇位継承の安定、皇族の身分、配偶者の生活、子の身分又は家族生活に重大な影響が生じるときは、必要に応じて、第十五条の七に定める皇室身分・人権保障委員会の意見を聴かなければならない。
第十一条 皇族配偶者
皇位継承資格を有する皇族の配偶者は、本人の明示的同意及び皇室会議の議により、皇族配偶者となることができる。
2 前項の同意は、書面により行うものとする。
3 皇族配偶者となることを希望しない者の婚姻の自由は、妨げられない。
4 配偶者が皇族配偶者とならない場合であっても、婚姻の効力及びその子の皇族身分には影響を及ぼさない。
5 皇統に属しない皇族配偶者は、皇位継承資格を有しない。
第十一条の二 皇族配偶者の基本的人権
皇統に属しない皇族配偶者は、日本国憲法が保障する基本的人権を有する。
2 皇統に属しない皇族配偶者は、皇族配偶者の身分を取得したこと又は皇位継承資格を有しないことを理由として、その人格的尊厳、自由意思、婚姻及び家族生活、健康、教育、私生活並びに財産権を不当に制約されない。
3 皇統に属しない皇族配偶者に対する権利又は自由の制約は、皇位の安定的継承、象徴天皇制の維持及び皇室の政治的中立性の確保のために必要かつ相当な範囲に限られ、法律の明文によらなければならない。
4 皇統に属しない皇族配偶者の思想及び良心の自由、信教の自由、学問の自由、表現の自由、職業選択の自由、財産権その他の基本的人権は、皇族配偶者としての地位と両立する限り、最大限尊重されなければならない。
5 国及び宮内庁は、皇統に属しない皇族配偶者に対し、皇室制度の維持、皇族数確保又は公的活動の必要を理由として、本人の自由意思に反する公的活動、生活上の制約、職業上の制約、財産の管理、処分又は取得の制限を課してはならない。
6 皇統に属しない皇族配偶者に対する権利又は自由の制約について疑義があるときは、本人の人格的尊厳及び基本的人権を尊重する方向で解釈しなければならない。
第十一条の三 皇族配偶者及びその配偶者たる皇族の財産関係
皇統に属しない皇族配偶者及びその配偶者たる皇族の財産関係については、この法律、皇室経済法その他皇室に関する法令に特別の定めがある場合を除き、民法の夫婦財産制の趣旨を尊重しなければならない。
2 皇統に属しない皇族配偶者が皇族配偶者となる前から有する財産は、本人の特有財産とする。
3 皇統に属しない皇族配偶者が皇族配偶者となった後に、相続、遺贈、贈与、労務、著作、投資その他私的な原因により自己の名で取得した財産は、法律に別段の定めがある場合を除き、本人の特有財産とする。
4 皇統に属しない皇族配偶者及びその配偶者たる皇族のいずれに属するか明らかでない財産は、夫婦の共有に属するものと推定する。
5 前項の共有財産については、皇族配偶者又はその配偶者たる皇族の一方の意思のみによって、国、宮内庁、皇室会議その他の機関が管理し、処分し、又は利用することはできない。
6 皇統に属しない皇族配偶者及びその配偶者たる皇族は、その資産、収入、皇族費、生活状況その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。ただし、皇室費用又は皇室用財産に属するものについては、日本国憲法、皇室経済法及び予算の定めるところによる。
7 皇統に属しない皇族配偶者及びその配偶者たる皇族の特有財産、共有財産、皇族費、皇室費用及び皇室用財産は、それぞれの性質に応じて明確に区分して管理されなければならない。
8 皇統に属しない皇族配偶者が皇族配偶者の身分を離れる場合において、婚姻中に夫婦の協力によって形成され、又は維持された財産があるときは、当該財産の帰属及び清算について、民法の財産分与の趣旨を尊重して、必要な措置が講じられなければならない。
9 皇統に属しない皇族配偶者が皇族配偶者の身分を離れた場合であっても、その特有財産及び共有財産に関する権利は、当然には失われない。
10 皇室に財産を譲り渡し、又は皇室が財産を譲り受け、若しくは賜与する場合には、日本国憲法第八条、同第八十八条及び皇室経済法の定めるところによる。
11 国は、皇族配偶者の身分取得又は身分離脱に伴い、本人の生活、住居、医療、警備、職業生活又は財産管理に重大な影響が生じるときは、法律及び予算の定めるところにより、必要な経過的支援を行わなければならない。
第十二条 婚姻による皇族身分の保持
親王、内親王、王及び女王は、天皇及び皇族以外の者と婚姻した場合であっても、当然には皇族の身分を離れない。
2 前項の皇族は、本人の意思により、皇室会議の議を経て、皇族の身分を離れることができる。
3 皇室会議は、前項の議をするにあたり、皇位の安定的継承に重大な支障がない限り、本人の意思を尊重しなければならない。
4 婚姻後の皇族の公的活動、住居、費用、警備その他家族生活に関する事項は、本人、配偶者及び子の意思並びに家族生活の安定を尊重して定めなければならない。
第十三条 皇族身分の離脱
皇嗣は、皇族の身分を離れることができない。
2 皇嗣以外の皇族は、本人の意思により、皇室会議の議を経て、皇族の身分を離れることができる。
3 皇室会議は、前項の議をするにあたり、皇位の安定的継承に重大な支障がない限り、本人の意思を尊重しなければならない。
4 成年に達した皇族であって、皇位継承順位が第五位以下の者は、成年に達した日から二年以内に、皇族の身分を離れる意思を表示することができる。この場合、皇室会議は、皇位の安定的継承に重大な支障がない限り、その意思を尊重しなければならない。
第十四条 皇族配偶者の身分離脱
皇族配偶者は、離婚したとき、又は配偶者たる皇族が皇族の身分を離れたときは、皇族の身分を離れる。
2 皇族配偶者は、配偶者たる皇族が死亡した後、本人の意思により、皇室会議の議を経て、皇族の身分を離れることができる。
3 皇族配偶者の身分離脱にあたっては、その生活、住居、名誉、私生活及び子との関係について、必要な措置が講じられなければならない。
第十五条 人格的尊厳の尊重
皇族、皇族となる者、皇族配偶者及び皇族の子の人格的尊厳は、皇位の安定的継承及び象徴天皇制の維持と調和する限り、最大限尊重されなければならない。
2 皇族、皇族となる者、皇族配偶者及び皇族の子は、皇位の安定的継承及び象徴天皇制の維持に必要かつ相当な範囲を超えて、その自由意思、婚姻、家族生活、健康、教育、私生活及び人格的利益を制約されない。
第十五条の二 自由意思の確認
皇族身分の取得、保持、離脱、婚姻及び養子縁組に関する本人の意思確認は、本人に対し、制度上の効果、生活上の影響、権利義務、費用、警備、公的活動及び将来の身分変更の可否について十分な説明をした上で行わなければならない。
2 前項の意思確認にあたっては、本人が独立した法律専門家及び心理・福祉の専門家から助言を受ける機会を保障しなければならない。
3 本人の意思は、強制、圧力、世論、親族関係その他不当な影響によって形成されてはならない。
第十五条の三 健康及び公的活動の負担
皇族及び皇族配偶者の公的活動は、その健康状態、年齢、生活状況、家族関係及び本人の意向を考慮して定めなければならない。
2 国は、皇族及び皇族配偶者に対し、過重な公的活動の負担が生じないよう必要な措置を講じなければならない。
3 国は、皇族、皇族となる者、皇族配偶者及び皇族の子に対し、必要な医療、心理的支援、生活上の支援及び相談体制を整備しなければならない。
第十五条の四 私生活及び家族生活の保護
国は、皇族、皇族となる者、皇族配偶者及び皇族の子の私生活、医療、教育、交友関係、婚姻、出産、子育て及び家族生活が不当に侵害されないよう、必要な措置を講じなければならない。
2 前項の措置は、皇位の安定的継承及び象徴天皇制の維持に必要な範囲を超えて、本人又は家族の自由を制約するものであってはならない。
第十五条の五 天皇及び皇族の政治利用の禁止
国及び地方公共団体は、天皇及び皇族を、特定の政党、政治的立場、宗教的立場、思想的立場又は政策目的のために利用してはならない。
2 何人も、天皇又は皇族の地位、発言、行事、出席その他の公的活動を、特定の政治的主張の正当化又は反対意見の抑圧のために利用してはならない。
第十五条の六 論評及び批判の自由
何人も、天皇制、皇室制度、皇位継承、皇族の公的活動及びこの法律の運用について、自由に論評し、批判し、又は意見を表明することを妨げられない。
2 前項の自由は、天皇又は皇族に対する敬愛の有無、皇室制度に対する賛否、皇位継承に関する意見の相違によって、不利益に取り扱われてはならない。
3 第一項の規定は、個人に対する違法な脅迫、名誉毀損、プライバシー侵害その他法令に違反する行為を許容するものではない。
第十五条の七 皇室身分・人権保障委員会
皇族、皇族となる者、皇族配偶者及び皇族の子の身分、婚姻、養子縁組、皇族身分の離脱、生活保障及び人格的尊厳に関する事項を審査し、助言し、調整し、又は意見を述べるため、皇室身分・人権保障委員会を置く。
2 委員会は、憲法、皇室制度、家族法、医療、心理、福祉、教育及び人権保障に関する識見を有する者をもって組織する。
3 委員会は、宮内庁、内閣その他の行政機関から独立して職務を行う。
4 皇族、皇族となる者、皇族配偶者及び皇族の子は、身分、婚姻、養子縁組、公的活動、生活、教育、健康、私生活、家族生活その他人格的尊厳に関する事項について、委員会に対し、いつでも相談を申し出ることができる。
5 前項の相談は、本人の意思に反して、宮内庁、政府、皇室会議その他の機関又は第三者に開示されてはならない。ただし、本人の生命、身体又は重大な利益を保護するため緊急の必要がある場合は、この限りでない。
6 委員会は、第四項の相談を受けたときは、本人の意思を尊重しつつ、必要に応じて、事情の聴取、資料の収集、専門家の意見聴取、関係機関との調整その他必要な調査及び支援を行うことができる。
7 委員会は、相談事項について必要があると認めるときは、宮内庁、政府、皇室会議その他関係機関に対し、必要な説明又は資料の提出を求めることができる。
8 前項の求めを受けた機関は、正当な理由がない限り、これに応じなければならない。
9 委員会の組織及び運営に関する事項は、別に法律で定める。
第十五条の八 相談事項の解決及び是正措置
委員会は、前条第四項の相談に係る事項について、皇族、皇族となる者、皇族配偶者又は皇族の子の人格的尊厳、自由意思、健康、私生活若しくは家族生活が侵害され、又は侵害されるおそれがあると認めるときは、宮内庁、政府、皇室会議その他関係機関に対し、必要な是正措置、調整措置又は保護措置を勧告することができる。
2 前項の勧告を受けた機関は、当該勧告を尊重し、必要な措置を講じなければならない。
3 前項の機関が勧告に従わないときは、その理由を委員会に書面で示さなければならない。
4 委員会は、本人の同意を得た上で、前項の理由及び当該機関の対応状況について、皇室会議又は国会に報告することができる。ただし、本人及び家族の私生活、医療、教育その他高度の配慮を要する事項については、個人の尊厳及びプライバシーを不当に侵害してはならない。
5 委員会は、本人の生命、身体、健康又は重大な人格的利益を保護するため緊急の必要があると認めるときは、宮内庁、政府その他関係機関に対し、暫定的な保護措置を求めることができる。
6 前項の求めを受けた機関は、直ちに必要な対応を検討し、その結果を委員会に報告しなければならない。
第十五条の九 不利益取扱いの禁止
何人も、皇族、皇族となる者、皇族配偶者又は皇族の子が、第十五条の七第四項の相談を申し出たこと、同条第六項の調査若しくは支援を受けたこと、又は前条第一項の勧告に関与したことを理由として、当該本人又はその家族に対し、不利益な取扱いをしてはならない。
2 前項の不利益な取扱いには、公的活動の割当て、住居、費用、警備、教育、医療、生活支援、身分上の取扱い、私生活上の配慮その他皇族又は皇族となる者の生活に重大な影響を及ぼす事項について、不合理な差別的取扱いをすることを含む。
3 委員会は、第一項に違反するおそれがあると認めるときは、関係機関に対し、必要な調査、説明又は是正措置を求めることができる。
第十五条の十 国会への報告及び検証
政府は、毎年、皇位の安定的継承、皇族数、皇族及び皇族配偶者の公的活動の負担、皇族、皇族となる者、皇族配偶者及び皇族の子の人格的尊厳の保障状況について、国会に報告しなければならない。
2 前項の報告にあたっては、皇族、皇族となる者、皇族配偶者及び皇族の子の私生活、医療、教育その他高度の配慮を要する事項について、個人の尊厳及びプライバシーを不当に侵害してはならない。
3 国会は、前二項の報告に基づき、皇位の安定的継承及び皇族等の人格的尊厳の保障に関し、必要な検証を行うものとする。
第三章 摂政
第十六条 摂政の設置
天皇が成年に達しないときは、摂政を置く。
2 天皇が、精神若しくは身体の重患又は重大な事故により、国事に関する行為をみずからすることができないときは、皇室会議の議により、摂政を置く。
第十七条 摂政の順位
摂政は、次の順序により、成年に達した皇族が、これに任ずる。
一 皇太子、皇太女、皇太孫又は皇太孫女
二 その他の皇位継承順位に従う成年皇族
三 皇后又は皇配
四 皇太后又は皇太配
五 太皇太后又は太皇太配
2 前項各号に掲げる者に、精神若しくは身体の重い疾病、重大な事故その他摂政の職務を行うことが困難な事情があるときは、皇室会議の議により、その順位を変更することができる。
第十八条 摂政又は摂政となる順序の変更
摂政又は摂政となる順位にあたる者に、精神若しくは身体の重患があり、又は重大な事故があるときは、皇室会議の議により、前条に定める順序に従って、摂政又は摂政となる順序を変えることができる。
第十九条 摂政又は摂政となる順序の復帰
前条の規定により摂政又は摂政となる順序を変えられた者について、その事由がやんだときは、皇室会議の議により、その順序をもとに復することができる。
第二十条 摂政の廃止
第十六条第二項の事由がやんだときは、皇室会議の議により、摂政を廃する。
第二十一条 摂政の訴追制限
摂政は、その在任中、訴追されない。ただし、これがため、訴追の権利は、害されない。
第四章 成年、敬称、即位の礼、大喪の礼、皇統譜及び陵墓
第二十二条 成年
天皇、皇太子、皇太孫の成年は、十八年とする。
第二十三条 敬称
天皇、皇后、皇配、太皇太后、太皇太配、皇太后及び皇太配の敬称は、陛下とし、その他の皇族の敬称は、殿下とする。
第二十四条 即位の礼
皇位の継承があったときは、即位の礼を行う。
第二十五条 大喪の礼
天皇が崩じたときは、大喪の礼を行う。
第二十六条 皇統譜
天皇及び皇族の身分に関する事項は、これを皇統譜に登録する。
第二十七条 陵墓
天皇、皇后、皇配、太皇太后、太皇太配、皇太后及び皇太配を葬る所を陵、その他の皇族を葬る所を墓とし、陵及び墓に関する事項は、これを陵籍及び墓籍に登録する。
第五章 皇室会議
第二十八条 皇室会議の組織
皇室会議は、議員十人でこれを組織する。
2 議員は、皇族二人、衆議院及び参議院の議長及び副議長、内閣総理大臣、宮内庁の長並びに最高裁判所の長たる裁判官及びその他の裁判官一人をもって、これに充てる。
3 皇族及び最高裁判所の長たる裁判官以外の裁判官たる議員は、それぞれ、成年に達した皇族又は最高裁判所の長たる裁判官以外の裁判官の互選による。
第二十九条 議長
内閣総理大臣たる議員は、皇室会議の議長となる。
第三十条 予備議員
皇室会議に、予備議員十人を置く。
2 皇族及び最高裁判所の裁判官たる議員の予備議員は、それぞれ、その議員の選挙の例により、これを選挙する。
3 衆議院及び参議院の議長及び副議長たる議員の予備議員は、それぞれ、各々の院の議員の互選による。
4 前二項の予備議員の員数は、各々その議員の員数と同数とする。
5 内閣総理大臣たる議員の予備議員は、国務大臣のうちから、あらかじめ内閣の指名する者をもって、これに充てる。
6 宮内庁の長たる議員の予備議員は、内閣総理大臣の指定する宮内庁の職員をもって、これに充てる。
7 議員に事故のあるとき、又は議員が欠けたときは、その予備議員が、その職務を行う。
第三十一条 衆議院解散の場合の特例
第二十八条及び前条において、衆議院の議長、副議長又は議員とあるのは、衆議院が解散されたときは、後任者の定まるまでは、各々解散の際衆議院の議長、副議長又は議員であった者とする。
第三十二条 議員及び予備議員の任期
皇族及び最高裁判所の長たる裁判官以外の裁判官たる議員及び予備議員の任期は、四年とする。
第三十三条 皇室会議の招集
皇室会議は、議長が、これを招集する。
2 皇室会議は、第九条の二第二項、第九条の二第十二項、第十条、第十二条第二項、第十三条第二項、第十四条第二項、第十六条第二項、第十八条及び第二十条の場合には、四人以上の議員の要求があるときは、これを招集することを要する。
第三十四条 定足数
皇室会議は、六人以上の議員の出席がなければ、議事を開き議決することができない。
第三十五条 議決方法
皇室会議の議事は、第十条、第十二条第二項、第十三条第二項、第十四条第二項、第十六条第二項、第十八条及び第二十条の場合には、出席した議員の三分の二以上の多数でこれを決し、その他の場合には、過半数でこれを決する。
2 前項後段の場合において、可否同数のときは、議長の決するところによる。
第三十六条 除斥
議員は、自分の利害に特別の関係のある議事には、参与することができない。
第三十七条 皇室会議の権限
皇室会議は、この法律及び他の法律に基づく権限のみを行う。
附則
第一条 施行期日
この法律は、公布の日から一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
第二条 皇位継承順位に関する経過措置
この法律の施行の際、現に皇位継承順位第一位及び第二位である皇族の順位は、なお従前の例による。
2 前項に掲げる皇族に次ぐ皇位継承順位は、新法第三条の規定により定める。
3 第一項に掲げる皇族の子及びその子孫の皇位継承順位については、新法第三条を適用する。
4 前二項の規定により皇位継承順位を定めるにあたっては、性別によって皇位継承順位を異にしてはならない。
第三条 婚姻後の皇族身分に関する経過措置
この法律の施行の際、現に内親王又は女王である者は、新法第十二条の規定により、婚姻によって当然には皇族の身分を離れない。
2 前項の者が、婚姻に際して皇族の身分を離れることを希望するときは、皇室会議の議を経て、皇族の身分を離れることができる。
3 皇室会議は、前項の議をするにあたり、本人が現行制度の下で人生設計を行ってきた事情を十分に考慮し、本人の意思を最大限尊重しなければならない。
第四条 皇族配偶者に関する経過措置
この法律の施行後に皇位継承資格を有する皇族と婚姻する者は、新法第十一条に定めるところにより、皇族配偶者となることができる。
2 皇族配偶者となることを希望しない者について、その意思に反して皇族配偶者の身分を取得させてはならない。
第五条 特例皇族養子制度の検証
新法第九条の二に定める特例皇族養子制度については、この法律の施行後十年以内に、国会において、その必要性、国民の理解、本人及び家族の人格的尊厳への影響、並びに皇位の安定的継承に対する効果を検証し、必要があると認めるときは廃止を含む見直しを行うものとする。
7 この改正案の意味
この改正案の中心は、旧宮家男系男子の養子案ではない。
中心は、皇位継承資格を、男女を問わず皇統に属する皇族に広げることである。
そのうえで、継承順位を直系長子優先にする。
これによって、皇位継承は明確になる。
誰が将来の継承者なのかが、出生時点から分かる。
性別によって順位が変わらない。
弟が生まれたから姉の順位が下がるということもない。
遠い血筋の一般国民を探す必要もない。
現に皇室で生まれ育つ皇族を中心に制度を作ることができる。
これは、現行憲法の範囲内で可能である。
重要なのは、憲法が求めているのは「世襲」であって、「男系男子限定」ではないということである。2005年報告書も、女子や女系皇族の皇位継承は憲法上可能であり、皇位継承資格を拡大する方が安定的であると整理している。
また、この改正案は、女性皇族を単に皇室に「残す」制度ではない。
婚姻によって当然に皇族身分を失わないという、地位保障の制度である。本人が皇族身分を離れたい場合には、その意思を尊重する。配偶者についても、本人の明示的同意がなければ皇族配偶者にはならない。子については、皇統に属する皇族から出生した子として、男女を問わず皇族とし、皇位継承資格を認める。
これにより、女性皇族の家族だけが制度的に不安定になることを避ける。
旧宮家男系男子の養子案については、あくまで補助的制度として位置づける。
しかも、養子縁組によって皇位継承資格を生じさせない。養子となる本人の自由意思、配偶者と子への影響、独立した法律専門家・心理福祉専門家からの助言、熟慮期間、撤回権、離脱手続を明文化する。
これは、養子に入る人を守るためである。
皇室制度を維持するために、一般国民として生活してきた人を、本人や家族の人生ごと制度に取り込むようなことがあってはならない。
8 現在案との決定的な違い
現在案と本稿の改正案の違いは明確である。
現在案は、皇族数確保を中心にしている。
本稿の改正案は、皇位の安定的継承を中心にしている。
現在案は、女性皇族の配偶者や子の扱いを先送りする。
本稿の改正案は、配偶者と子の地位を法律で明確にする。
現在案は、旧宮家男系男子の養子案に大きな意味を持たせる。
本稿の改正案は、養子案を皇位継承安定策の中心に置かない。
現在案は、女性・女系天皇の議論を正面から扱わない。
本稿の改正案は、現行憲法の範囲内で、男女を問わない皇位継承を正面から制度化する。
現在案は、人権保障規定が弱い。
本稿の改正案は、人格的尊厳、自由意思、健康、公的活動の負担、私生活、家族生活、政治利用禁止、批判の自由、国会報告を明文化する。
この違いは大きい。
皇室典範は、単なる家族法ではない。
国家の象徴制度を支える基本法である。
だからこそ、皇族の方々の人生を制度の都合で動かしてはならない。
9 皇室を安定させるとは、制度を明快にすることである
皇室制度の安定には、三つの要素が必要である。
第一に、皇位継承順位が明快であること。
第二に、国民がその継承を自然に受け止められること。
第三に、皇族本人、配偶者、子、皇族となる人の人格的尊厳が守られること。
現在案は、この三つのいずれについても不十分である。
女性皇族は残るが、夫と子はどうなるのか。
旧宮家男系男子は養子になるが、本人や子孫の皇位継承資格はどうなるのか。
皇位継承の安定という第一目的にどうつながるのか。
皇族となる人の自由意思と家族生活はどう守られるのか。
これらが曖昧なまま、皇室典範を改正してはならない。
皇室制度に必要なのは、曖昧な政治的妥協ではない。
将来世代に向けて、明快で、安定し、国民が納得でき、人権保障にも配慮された制度である。
10 結論――皇室典範改正は、皇位継承と人権保障を一体で設計すべきである
皇室典範改正の第一目的は、皇位の安定的継承である。
しかし、皇位の安定的継承は、皇族や皇族となる人の人格的尊厳を軽視して実現するものではない。
むしろ、人権保障を欠いた制度は、長期的には皇室を不安定化させる。
女性皇族を皇室に残すなら、その配偶者と子の地位を明確にしなければならない。
旧宮家男系男子を養子に迎えるなら、本人と家族の自由意思、生活、将来を法律で守らなければならない。
皇位継承を安定させるなら、女性・女系皇族を排除したままではなく、現行憲法の範囲内で、男女を問わない直系長子優先を正面から検討すべきである。
「皇族数確保」という言葉に惑わされてはならない。
問題の本質は、皇族の人数ではない。
誰が、どのような根拠で、国民の信頼のもとに、安定して皇位を継ぐのか。
そして、その制度の中で、皇族本人、配偶者、子、皇族となる人の人格的尊厳をどう守るのか。
この二つを切り離してはいけない。
皇位の安定的継承と人権保障は、対立するものではない。
皇位の安定的継承を本当に実現するためにこそ、人権保障が必要なのである。
はらだよしひろと、繋がりたい方、ご連絡ください。
私、原田芳裕は、様々な方と繋がりたいと思っています。もし、私と繋がりたいという方は、是非、下のメールフォームから、ご連絡ください。ご相談事でも構いません。お待ちしております。




