毎日、苦しみを観察し、向き合うことから生まれる『楽』の創造と喜び 2023年6月3日

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春日井市在住です。
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母が、すい臓がんステージⅣになりました。(←をクリック)
そして、2023年6月22日に亡くなりました。
母のいのちと向き合うブログを書いています。
この記事も、そのブログの一記事です。
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朝からお出かけ日和

晴れ - Wikipedia から

今日は朝から晴れたので、母と近所をぐるーっと回ってお出かけしようと思っていました。

毎日、屋内では気が滅入るだろうし、天気がよい時は、車いすで、少し散歩でもしたら、それだけでも気が晴れるよな~と思ったのです。

で、実際にお散歩を実行しましたが・・・・・・・、家から100メートルいったところで、母が吐き気を催すようになってきたので、引き返してきました。

膵臓癌が進行した時の症状の一つとして、吐き気があります。

また、内分泌機能が障害されると口渇、多飲、多尿などの糖尿病の症状があらわれます。癌が膵臓の外にでると近傍の胆管を閉塞させ(図3)黄疸が生じ、眼が黄色くなったり、尿が濃い紅茶色に変化します。肝臓機能の悪化が見られ、血中ビリルビン、ALP、γ-GTP、AST (GOT)やALT (GPT)などが上昇します。病巣が進展し十二指腸を狭窄させると、悪心、嘔吐などの症状が現れます。

膵がんの症状 | がんの知識・講座・研修 | 愛知県がんセンター (pref.aichi.jp) から。(下線は私)

2日前あたりから、黄疸の症状も出始めているので、癌の進行は進んでいると実感します。

今日の点滴は3時間コース

今日も、訪問看護に入っていただき、母は3時間の点滴を受けました。3時間はロングランになるので、母にいかに楽な姿勢で、点滴を受けてもらうかが、とても大切になります。

これが、母が点滴を受けるのに、とても楽なポーズとなります。

  • 右に向いて寝る。

この格好が、とても、楽に感じて、すぐに落ち着きます。
但し、目が覚めたりすると、身体を動かそうとして、仰向けになったり、左に向こうとしたりします。
そうすると、身体を動かすだけで、息切れがはじまり、身体の不快感を感じ始めます。そうなると、長い時間にわたって不快な状態が続いてしまうので、ベッドの左側に白いマットをかけることで、母が楽なポーズを保てるような工夫をしています。

この姿勢を保つ工夫に至るまで、実は様々な葛藤がありました。右に向いている時にスヤスヤ眠るのは気づいていたのですが、身体が起きて、身体を動かしてしまうと、息切れがはじまり、身体に不快感が覆います。そうなると、身体が自由には動かせないので、尚更もとに戻れなくなります。
右に向くのが一番楽だから!!と言って、その姿勢にもっていこうとしても、身体の不快感と強制的にやらせようとすることへの抵抗感から、なおさら、その姿勢に持っていけないのです。

そして、一番困るのが真夜中でした。一度、起きて、身体の向きを変えてしまったら、不快感で眠れなくなります。まだ、手につかまって車いすに乗ることはできますので、車いすに座り直して、母も不快感を何とかしようとします。でも、身体を動かしたら、息切れがはじまり、なんともならなくなるのです。

一度体の不快感を感じ始めたら、それを治めるのが大変。
だからこそ、楽な姿勢を保ち続けるには、動かそうと思っても、動かせない・・しかも、動かせないことでも不快感を感じさせないという工夫が必要でした。

動かそうとしても、柔らかいクッションみたいなものが、優しく跳ね返す。それを思いついて、この工夫に至ったのです。

癌との闘いは、いかに「楽」な環境をつくれるかとの闘い

私たち家族は、母の膵臓癌が分かってから、初めから抗がん剤治療無しの緩和ケアを選択しました。

「苦しまずに余生を過ごしてほしい」「幸せ実感しながら余生を過ごしてほしい」という想いををもって、母と向き合ってきましたが、実際にやってみて、大きな問題があることに気が付きました。

癌の進行とともに、新たな苦しみのパターンが出て来る。ということです。黄疸の症状も然り、動いただけで息切れがしたり、気持ちわるくなったりすることも、そうです。

そういう身体の変化をつぶさに観察しながら、どうすれば、「楽」になれるのかを考え続けて、実践し続けていくことが大事です。

楽になっているから、幸せ実感ができる。だが、今日の楽は、明日には通じない。だから、つぶさに苦しみ方を観察して、「楽」を作り上げていく。このことが大事なのだなあと思っているこの頃です。

毎日、苦しみを観察し、向き合うって大変かもしれません。でも、そこから生まれてきた新たな「楽」の創造ができたときの喜びが、どれだけ貴重なものなのか!! ということも知って貰えたらと思います。